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日本のビデオゲームに登場するアラブ人キャラクターが多様化

「鉄拳」の制作者「シャヒーンはデザインするのが非常に難しいキャラクターでした」(YouTube)
「鉄拳」の制作者「シャヒーンはデザインするのが非常に難しいキャラクターでした」(YouTube)
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23 Oct 2019 03:10:24 GMT9
23 Oct 2019 03:10:24 GMT9

ドバイ – ハラ・タシュカンディ

ビデオゲーム業界ではこれまで、アラブ人が誤ったイメージで描かれ、また登場する機会も十分に与えられてこなかった。

グラスゴー・カレドニアン大学でゲームデザイン講師を務めるロマーナ・ラムザン氏は、ビデオゲームに登場するアラブ人キャラクターの多くはテロリストや悪役であると指摘する。

「ゲームでは、私たちが倒す相手として描かれています」。同氏はこう付け加える「AK-47を持つ浅黒い肌をしたキャラクターが『アッラーフ・アクバル』(アッラーフは最も偉大である)と叫ぶのが典型的です。そうでなければ、ラクダや山羊を連れています」

ゲームスタジオ、Vlambeerの共同設立者であるラミ・イスマイール氏はこう述べる。「アラブ人を撃ちまくれ、といった『コール オブ デューティ』的な描写が繰り返されています」

しかし約10年前から、悪役でないアラブ人を描く有名ゲームも登場するようになった。その好例が、アルタイル・イブン・ラ・アハドを主人公とする「アサシン クリード」だ。同ゲームは、ユービーアイソフトが2007年に発売したオープンワールドゲームである。

舞台は十字軍による遠征を受けた12世紀のレバント(東部地中海沿岸地方)。アルタイル・イブン・ラ・アハドは、後に歴史に残るビデオゲームシリーズとなる本作の礎を築いた。

ユービーアイソフトはその後、シリーズで8作以上のゲームを製作。最新作では再びアラブ世界を舞台に、エジプト系米国人のレイラ・ハッサンが、プレイ可能なキャラクターとして登場する。

他のシリーズでも、アラブ人キャラクターの役割が徐々に多様化しつつある。

ブリザードが2016年に発売したマルチプレイヤーFPS「オーバーウォッチ」では、エジプト出身の母娘コンビ、アナとファラをプレイヤーは選択できる。ファラはアラビア語のセリフをいくつか話す。

日本のビデオゲームでは、悪役でないアラブ人をプレイ可能なキャラクターとして登場させるため、多大な努力がなされてきた。

サウジアラビアのアニメーション制作会社、Manga Productionsは2017年9月、SNKと共同でデザインコンペを開催した。同社は中国資本による日本のビデオゲーム制作会社だ。

中東のファンを対象に、「The King of Fighters XIV」のダウンローダブル・コンテンツへ向けた新しいキャラクターとステージのデザインが公募された。

当選したキャラクターは、女性ファイターのナジュド。サウジアラビア人アーティスト、マシャーイル・アルバラーク氏によるデザインだ。 

一方、当選したステージは、オマーン人アーティスト、ザイナブ・アル・ラワッティー氏がデザインしたサウジアラビアの首都リヤドだ。髪をヒジャブで隠したナジュドは、ユニークなアバヤを身にまとい、闇の力を操ることができる。

アラバラーク氏はこう話す。「イスラムの伝統的な価値観を保ちつつ、サウジアラビアで起きている変化を反映した、現代的なサウジアラビアの女性を作ることにしました」。

Manga Productionsのイサム・ブカーリCEOはこう述べる。「サウジアラビアの才能ある若者がデザインしたキャラクターとステージを、SNKと共同で制作できたことに、とても感激しています」

同氏はこう付け加える。「サウジアラビアなど中東諸国の若手ビデオゲーム開発者にとって、チャンスを掴むきっかけになればと思います。日本そして世界中のファンに、これらの新しい制作物を楽しんでいただけたらと思います」

「鉄拳」の制作者である原田勝弘氏は、シリーズの最近の作品におけるダイバーシティについて、「20年前にゲームをデザインした際は、日本のオーディエンスだけを想定していました。しかしその後、ゲームの人気が高まるにつれ、またアラブなど様々な文化圏に裾野を広げたことで、多くのフィードバックが寄せられるようになりました」と述べる。

「ゲームでは、デザインのおよそ半分が外国の影響を受けていたおかげで、日本市場での訴求力に繋がりました。中国やアメリカなど、外国文化から多くの要素を拝借しています」

原田氏は、「鉄拳」初のサウジアラビア人キャラクターが好評を博したことについて、 こう満足げに話す。

「シャヒーンはデザインするのが非常に難しいキャラクターでした。コスチュームを何度も手直しして、ようやく納得のいく出来になりました」

「シャヒーンのデザインについては、ファンからのフィードバックを数多く取り入れました。私たちにとって、キャラクターを正式に登場させる前に、ファンに納得してもらうことが重要だったからです」

日本のビデオゲームでは他にも、2016年発売の「ストリートファイターV」で、ラシードがアラブ人キャラクターとして登場する。 

裕福な家庭の長男であるラシードは、公式キャラクターアートの背景にドバイ首長国が描かれていることかも、アラブ首長国連邦に強く影響を受けている。

こうした中でも、日本のビデオゲームでアラブ人キャラクターが活躍する場は、アラブ文化の豊かさを探求する余地が少ない、格闘ゲームにほぼ限られている。

サウジアラビア人ゲーマーで、ストリーマーやポッドキャスターとしても知られるナウワーフ・アルムサイード氏は、西洋人のような偏見を持たない日本人にこそ、さらに作り込みの細かいアラブ人キャラクターを製作して欲しいと話す。 

「例えば『ポケットモンスター』シリーズでは、実在する場所に基づく地方として、アローハ(ハワイ)やカロス(フランス)、オーレ(アリゾナ砂漠)が登場します」とアルムサイード氏が続ける。

「中東の国に影響を受けた地方が登場して、そこに特有のモンスターを住ませて欲しいです。コンテンツとしてとてもポテンシャルがあると思います」

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