アミン・アッバス

岩田宝来屋は、家具作り、漆塗り、金箔押し、木彫刻といった素晴らしい日本の木工の伝統を専門とする工房だ。1924年の創業以来古都京都に店を構え、現在は創業家の三代目が代表を務める。岩田宝来屋の熟練した木工職人たちは遺産と伝統の守り手である。

日本で数多くの仏壇を製作・修理してきた岩田宝来屋だが、近年は人々に知識と技術を伝えるための国際的なコラボレーションを始めている。

タシキール（2008年からUAEのドバイを拠点にアートやデザインを支援している団体）はドバイ・カルチャーのシッカ・プラットフォームからの支援のもと、京都の岩田宝来屋とコラボレーションして、2022年10月30日～11月23日にドバイで日本の木工に関する8つの講座を開催した。

4日間（指導時間は16時間）にわたり計50人以上の参加者が日本の伝統工芸である木工の基本について学んだ。名匠市原聡志氏と岩田宝来屋が講座を担当した。タシキールは、この伝統工芸の保存と継承に生涯を捧げているこれらの職人に深い感謝を表明している。

名匠市原聡志氏は、1400年以上かけて培われた木工の伝統の技の継承者であり、仏壇・仏具・仏像の製造・修理や寺の内部空間のデザインを行っている会社である岩田宝来屋で仕事をしている。岩田宝来屋の作品は、職人の技を反映させながら、使用する木材各々の特性も考慮して、数世紀もつように作られている。

彼らは、歴史的な木工作品がこれから何世紀ももつように修復・保存する活動も行っている。市原聡志氏は23歳の時、木工職人の父のもとで修行を始めた。木という媒体を通して日本の真の美を実現するという探究に身を捧げた後、彼の実践の2つの重要な側面である日本の文化と民俗の研究を始めた。

市原聡志氏は岩田宝来屋の工房で、哲学と科学への愛を込めながら自らの手で作品を作り出す探究を続けている。この業界が進化を続ける中でどのように技術を取り入れていくのかを楽しみにしているという。

岩田宝来屋の担当者はアラブニュース・ジャパンに対し次のように語った。「岩田宝来屋は熟練した職人の仕事を監督する家業です。1400年以上前から磨き上げられてきた伝統技術を継承している職人もいます」

「岩田宝来屋は木で仏具を作ることから始めましたが、その後仕事を広げてお寺のインテリアの製造なども行うようになりました。これらの空間や仏具はこれから何百年もお寺の中にあり続けるでしょう」

「岩田宝来屋は、100年前から代々受け継がれてきた技術・技能を使って、古い物の中に新しい物を取り入れることに取り組んでいます」

この担当者は、岩田宝来屋が取り入れている日本文化が与えてくれる最大のインスピレーションについて次のように話した。「日本、特に私たちが住む京都では、お寺、神社、仏具などが何世紀も前から文化の中心であり続けています。私たち岩田宝来屋は、そのような何世紀もの歴史を持つ木工品やその他の品を、日本仏教と共に発展してきた技術を使って修復しています。また、古い物からインスピレーションを受けた新しい作品も作っており、時代を超えて残ってほしいと思っています」

この担当者は説明を続け、プロジェクトの中で直面する課題に言及した。「私たちが行っているプロジェクトでは、数世紀前の本来の計画に忠実なやり方で修理・修復に取り組むことが肝心です。同時に、当時よりも安全な新技術を自らの責任で導入・開発しなければなりません」

タシキールでのワークショップで初めてUAEを訪れた岩田宝来屋は、タキシールにおける技術の進歩や資源・木材の豊富さに驚かされたという。

岩田宝来屋は、仏具木工の技能・技術を家具・インテリアデザイン業に応用できるようなプロジェクトに関わっていく予定だ。

日本の木工について学ぶことに興味のある人に対し、この担当者は次のように勧めた。「是非日本を訪れてください。岩田宝来屋は日本の京都で工房を運営しています。私たちは職人に技術や木工道具・機械の使い方を指導するとともに、外国から来た職人へのレッスンも行っています」

「私たちの技術指導をご自身の作品や職人訓練に取り入れていただくお手伝いができればと思います」