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公共アートを都市へと運ぶ、リヤド・アートの概要

リヤドのランドマーク — XXL. (提供写真)
リヤドのランドマーク — XXL. (提供写真)
28 Apr 2019 04:04:59 GMT9

ハラ・タシュカンディ

  • リヤド・アートは、市内いたる所の公共空間へ1,000個以上のアート作品を配布する
  • サウジアラビアでは、サフワが権勢を振るった時期にアートが抑制された

リヤド:アートで有名な世界中の都市について考える時、リヤドがすぐに思い浮かぶことはない。しかしサウジアラビアで本格的な文化革命が始まりつつあるのを受け、それは変わっていくだろう。

先月、サルマン王は首都のための4つのプロジェクトを発表した。その一つが、2023年末までに、街中の公共空間で1,000個以上のアート作品展示を企画するリヤド・アートだ。

サウジアラビアには「考古学的、建築的、文化的に豊かな歴史があり、そしてその現代アートシーンも、ますます活動的になっています」。サザビーズ中東およびインドの会長を務めるEdward Gibbs氏は語った。

「ジッダの彫刻美術館のような草分け的プロジェクトが、都市部で現代アートを展示することの目に見える社会的利益を示し、道を開きました。」と彼は付け加えた。

「リヤド・アートは、刺激的で新しい構想です。それは新世代のサウジアラビア・アーティストたちと幅広いコミュニティとの間に会話をもたらし、新たな対話の促進を約束するものです。」とGibbs氏は述べた。

「芸術的、独創的に拡張した視点を見ることを楽しみにしています。リヤド・アートはきっと、首都や王国内のその他の創造力溢れる街々へとそれらを広めてくれるでしょう。」

1950年代にサウジアラビアのアーティストたちがインスピレーションを得たのは、ヨーロッパのルネサンス期の絵画だった。1960年代には、サウジアラビアの若者に初の芸術奨学金が授与され、海外留学の機会がもたらされた。

未来派、印象派、キュビズム、そして抽象芸術の全てが、1979年までに国内芸術へと浸透した。だがその後にやって来たのが、西洋文化からの影響に反発した思想運動であるサフワだ。

ほぼ一夜にして、サウジアラビアは変化した。厳格で保守的な気風が国全体を覆い、アートシーンを抑制した。

しかし、2014年にSaudi Art Council(サウジアラビア芸術評議会)が設立されたことも含めて近年、アートシーンは著しい復活を遂げている。

アートは贅沢というよりも必需であるという考えが、サウジアラビアに戻りつつあった。そしてアーティストになるという概念は再び、単なる趣味以上の意味を持つようになり始めた。

さらには、アート・ジャミールも創立された。これは企業家、先見者でありアート愛好家でもあった、故Abdul Latif Jameel氏の家族によって作られた機関で、サウジアラビアのアート・コミュニティを積極的に支援している。

リヤド・アートはビジョン2030プロジェクトの中で、これまでで最も大規模かつ野心的なものの一つだ。国内アーティストと海外アーティスト両方からの作品展示を企画するこのプロジェクトは、リヤドを主要なアート拠点として確立するだろう。

アラブ・ニュースによって独占的に報じられた詳細によれば、アート・リヤドは11のサブプロジェクトで構成される。

そのうちのいくつかは、国内アーティストのための恒久的な固定展示場となる。アーバン・アート・ラボは、市内広場で有名アーティストを特集するギャラリーから成る予定だ。これはアーティストと市民間の交流を促すだろう。

ジョイオス・ガーデンは、地域の庭園に有名アーティストが設計する遊び場となる。

ジュエルズ・オブ・リヤドは、観光地への設置が予定されている貴重なアート作品のコレクションだ。

リヤドの入り口に設けられるウェルカミング・ゲートウェイには、創造性に富むデザインと独創的な建築が見られるだろう。

アート・オン・ザ・ムーブに含まれるのは、市内の重要な交差点に置かれる彫刻だ。アート・イン・トランジットは、2019年の終わりまでに運営開始が予定される新しい地下鉄の開設を、地下鉄とバス駅内の作品で反映する計画だ。

アーバン・フローを構成するのは、アーティストたちが設計した歩道橋だ。市内の接続性を強化し、歩くことを市民に奨励するのが目的だ。

ガーデン・シティはアートのための庭園となり、記念碑や彫刻がリヤド中心地に恒久的に設置される。

年に一度のノア・フェスティバルは国内公園の一つで開催され、イルミネーションを基にしたインタラクティブアートを展示する。おそらく最も野心的に、リヤドのランドマークであるXXLが街を引き立てるだろう。

詳細は現在のところ厳重に秘密に保たれているが、間もなく発表となる見込みだ。リヤド・アート代表者によれば、同プロジェクトの設計計画は最終段階にある。施工は2019年後半に開始し、2023年末までに完成することが期待されているそうだ。

国内アーティストは、同プロジェクトに期待を寄せている。「このプロジェクトに関する全てに、興奮しています。サウジアラビアのアートと文化の再生、それが人々の気持ちに及ぼし得る潜在的な心理的影響、そして国民の生活を豊かにしてくれる可能性にもね。美しいものを眺めていられるなら、リヤドの交通渋滞に巻き込まれるのもずっと気にならなくなるでしょう。」彫刻家のTalal Altukhaes氏はアラブ・ニュースにコメントした。

「才能があり優秀な若いアーティストが、サウジアラビアには数多く存在します。彼らはこんな機会を、長い間待ち望んでいました。」

ネットで数万人ものファンに「Mikandii」として知られるアーティスト、Ameera Sheikh氏はアラブ・ニュースに、同プロジェクトは「たくさんの人々が輝き、才能を見てもらうためのチャンスを与えてくれるでしょう。」と述べた。

彼女は言った。「過去には、サウジアラビアでアーティストが支援を見つけるのははるかに難しいことでした。ですが変化は起こっています。そしてそれを見られることが、とても嬉しいです。」

フリーランスのアーティストとして専任で働くSheikh氏は、こう付け足した。「これまでは、サウジアラビアのアーティストがその潜在力を本当に最大化するのに十分な機会がありませんでした。私が住むジッダではギャラリーがオープンし、アートのための空間が増えています。でも私が見てきたそれらのほとんどが一時的なものです。より恒久的なものが利用可能になっていく様子を見られるのは、とても嬉しいです。」

サウジアラビア在住のオランダ人アーティスト、Aljohara Jeje氏はジッダとリヤドを行き来し、ジッダのアート・コミュニティで有名だ。彼女の作品は市内で最も権威あるギャラリーで展示されている。

彼女の最新作であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子のポスターは、ジッダのアートシーンで批評家たちから絶賛された。

「リヤド・アートって素晴らしい響きですね。」Jeje氏はアラブ・ニュースに告げた。「リヤドは活気に溢れた素晴らしい場所です。急激に成長している街であり、その中での関心も急速な高まりを見せています。私はこの動きを歓迎しますし、リヤド・アートが楽しみです。」

同プロジェクトは、ジッダのアートシーンにリヤドが追いつくのを後押しするだろう、と彼女はこう付け加えた。「ジッダは、次の世界的なアート拠点になれると思います。その面ではリヤドは少し遅れを取っています。ジッダは、ベルリンあるいは上海のようにより大きく、世界的に認められているアート都市と、2〜3年の内には苦もなく肩を並べることができるようになるでしょう。」

リヤド・アートは、人々が文化的必需品としてアートへの理解を深めるのに役立つだろう、という希望をJeje氏は表した。

「アートは全ての人々のためにあります。大衆が入手可能なものであるべきで、皆が生活の一部として慣れ親しむ必要があるのです」と彼女は述べた。

「全てを好きにならなくてもいいのです。時間と共に、センスや好みを磨くことができます。ですがアートに全員が親しめるよう、目にする機会が必要なのです。」

参加要件は決定間近で詳細は今年後半に発表が予定されている、とリヤド・アート事務局はアラブ・ニュースに述べた。

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