ドバイ：シャルジャ・アニメーション・カンファレンス（SAC）が5月3日から5日までシャルジャのエキスポセンターで開催され、アニメーションの様々な分野を扱う8つのワークショップが実施された。

アニメスタイルのキャラクターの描き方や、メカやアニメスタイルのヒーローの作り方などなど、アニメーション制作のあらゆる面が紹介された。

参加者はアニメーションの様々な分野の一流の専門家から貴重なヒントを受け取った。アニメーター志望者だけでなく経験豊富なプロも見逃せない、スキルアップに役立つイベントとなった。

業界のプロやファンに、世界的に高まるアニメーション需要に対応するためのスキルや知識を共有できるプラットフォームを提供した。

SACはこの種のイベントとしてはアラブ地域で初めてのものであり、シャルジャ書籍管理局（SBA）とイタリアのフェスティバル「ベルガモ・アニメーション・デイズ（BAD）」の積極的なパートナーシップのもとで開催された。

キャラクターデザインやストーリーボーディングなどのアニメーション制作の各分野を含む幅広いテーマについて、素晴らしいワークショップのラインナップが用意された。ディズニー、ピクサー、ネットフリックス、ユービーアイソフトなどのメジャー作品で仕事をした、受賞歴のある専門家らが指導にあたり、業界の最高レベルを直接体験できる機会を参加者に提供した。

SACは、子供の頃に親しんだマンガのキャラクターのクリエイターと現代アニメのクリエイターの両方を招待し、一緒にこのダイナミックなアート形式を祝福することで、ノスタルジアと現代性を調和させることを目指した。

アカデミー賞、エミー賞、アニー賞などの受賞者を多数ラインナップしたSACは、この地域では今までになかったレベルで、専門家と直接交流できる機会を参加者に提供した。

アニメファン、アーティスト、アニメーター、パブリッシャーに、真に包括的で没入的な体験をもたらした。

12のマスタークラスは、アニメーションの様々な分野の専門家から貴重なヒントを得る機会を参加者に提供し、進化を続けるアニメーション業界において知識を広げて技術に磨きをかけたい人々にとって見逃せない場でなった。

『ドラゴンボールZ』『オーバーロード』『バンパイアハンターD』『HUNTER×HUNTER』で最も良く知られ、世界最高のアニメ監督の一人と広く考えられている吉松孝博氏は、「革新的なアニメプロジェクトを支える創作プロセスを探る」と題したプレゼンテーションを行った。

吉松氏はこの興味深いプレゼンテーションにおいて、この業界で最も革新的で魅力的なアニメプロジェクトのいくつかに取り組んだ際の経験について話し、アニメーター志望者、経験豊富なプロ、アニメファンに刺激とヒントを与えた。

吉松監督はワークショップ「アニメスタイルの描き方」も担当し、体のプロポーション、顔のディテール、線のスタイルに関する理論と実践のセッションを参加者に提供した。

アニメアーティスト志望者らが質問をして専門家から直接フィードバックを受けていた。彼らにとって、スキルを一つ上のレベルへと引き上げる没入的で貴重な体験となった。

「横田守 ― 私の人生」では、『DEATH NOTE』『NARUTO -ナルト- 疾風伝』『ONE PIECE』『マクロスF』などで世界的に有名なキャラクターデザイナー・アニメーション監督の横田守氏が登場した。

同氏は、アーケードゲーム『BLAZBLUE CONTINUUM SHIFT II』のアニメーション監督などの過去の仕事を紹介しながら、創作プロセス、技術、キャリアの中で直面した課題、キャラクターデザインの重要性とそれがアニメのストーリーに与える影響などについて話した。

横田守氏は「メカスーパーロボットやアニメスタイルヒーローの描き方」でも、ユニークなデザイン、性格の特徴、キャラクターの必殺技の描き方などについて話した。

『メリー・ポピンズ リターンズ』『アイアン・ジャイアント』『ファンタジア2000』『ターザン』 などの作品で知られる、アニー賞受賞歴のある2Dアニメーター・キャラクターデザイナーのサンドロ・クレウゾ氏は、「アニメーションの技術」と題したプレゼンテーションを行った。

同氏はこのマスタークラスで、若干15歳だった1985年のウォルト・ディズニー・フィーチャー・アニメーションから始まりソニー、パラマウント、ネットフリックス・アニメーションを経てきた、これまでのキャリアの歩みと仕事の経験について話した。

参加者は、キャラクターデザイン、アニメーション技術、ストーリー制作を支える創作プロセスなど、クレウゾ氏の膨大な知識と専門技術から学んだ。

サンドロ・クレウゾ氏はワークショップ「個性を持ったキャラクター」においても、キャラクター創作の全体のプロセスを参加者に紹介し、彼の仕事の流れについての貴重なヒントを提供した。

あらゆる技術レベルの人々に開かれたこのワークショップは、初期の調査段階から完成品まで、参加者のキャラクターデザイン技術の向上を約束するものだった。

アカデミー賞受賞映画『リメンバー・ミー』に関わった映画・ストーリーボードアーティストのジョン・ネバレス氏による指導で、参加者はストーリー制作の技術を一つ上のレベルに向上させた。

同氏は包括的なワークショップ「ストーリーモーメントの話をしよう」を担当し、参加者は視覚的な形式でストーリーを伝える技術についての貴重なヒントを得た。アニメーター志望者にとっても経験豊富なプロにとっても、技術の向上とクリエイティブな刺激を提供するワークショップとなった。

ネットフリックス、パラマウント・ピクチャーズ、ソニー・ピクチャーズなどの大手で仕事をしてきた有名なキャラクターデザイナーのウーター・トゥルプ氏は、ワークショップ「キャラクターに命を吹き込む：デザイナーのためのテクニック」を担当した。

トゥルプ氏は、生き生きとして個性に溢れたキャラクターを作り出すために不可欠なテクニックや原則を教えた。

クリエイティブ・ディレクターのアンドレア・ボゼット氏はワークショップ「スタジオ・ボゼット：ストーリーボードと創造性」を行い、アニメーション制作のためのストーリーボーディングを支える創作プロセスを明かした。

ヒントに満ちたケーススタディーや、この業界におけるボゼット氏の豊富な経験から、参加者はストーリーボーディングに関する貴重な専門知識を得て自身の創作能力を解き放った。

マジッド・キッズTVによる「マジット・ワークショップ」では、子供たちはその可能性と創造性を開花させた。経験豊富なプロが指導にあたったこのワークショップは、アニメーターを夢見る子供たちや単純にアニメを見るのが好きな子供たちの創造性を刺激し想像力を発揮させることを目指して行われた。

アクティビジョン・ブリザードのアーティストマネージャー・リクルーター・クリエイターであるロビン・リン氏はワークショップ「完璧なポートフォリオを作る」で、潜在的な顧客やコラボレーターに良い第一印象を与えるための貴重なヒントを参加者に提供した。

SACはワークショップに加え、世界中のアニメーションファンやプロとつながり、コラボレーションし、アイディアを交換する機会を参加者に提供した。

SACへの来場者は、専門家や自分と同レベルの人々からアニメ業界に関する知見を手に入れる機会を得た。

アラブニュース・ジャパンの独占取材に応じた、SBAのエグゼクティブディレクターであるフーラ・アル・ムジャイニ氏は、シャルジャ・アニメーション・カンファレンスの背景にあるアイディアやストーリーについて語った。「このフェスティバルの主な目標は、高品質のビジュアルコンテンツをオーディエンスに提供することです。その観点からSACのアイディアが生まれて以来、私たちはパートナーと共に一心に取り組み、様々なゲストによるワークショップ、マスタークラス、ディスカッションパネルを計画してきました」

「SACはこの地域にとって本当にユニークなイベントです。アニメーションに夢中な人々に、この業界の最良の部分に触れ、それらから学び、同好の士とつながるための包括的なプラットフォームを提供することを目指しています」

「私たちの主な目標は、参加者を支援しスキル向上を助けるとともに、アニメーション業界の最新トレンドや技術についての貴重なヒントを得る機会を与えることです。世界中からファンやプロを集めることで、新たなコラボレーションやパートナーシップを育み、この業界におけるイノベーションや創造性を促進できればと思います。このイベントを通して次世代のアニメーターに刺激を与えることで、彼らが情熱を追求し業界を前進させるのを後押ししたいと思っています」

SACのアーティスティックディレクターであるピエトロ・ピネッティ氏は次のように語った。「初開催となるSACにおける私たちの目標は、アニメーションの世界の360度の眺めを参加者に提供することです。様々なアプローチを持った真に世界レベルの様々なアーティストやプロを招待して、アニメーション制作で使用する様々なスタイルやテクニックを紹介してもらいます」

SACとそのアクティビティーについての詳細やチケット予約はこちら。　www.sharjahanimation.com