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カンヌ映画祭のパネルディスカッション アラブ映画の進化を中心に

パネルディカッションは第76回カンヌ国際映画祭に合わせて行われた。(提供写真)
パネルディカッションは第76回カンヌ国際映画祭に合わせて行われた。(提供写真)
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21 May 2023 02:05:29 GMT9
21 May 2023 02:05:29 GMT9

ナダ・アルトゥルキ

カンヌ:アラブ地域の映画には、数十年の歴史があり、作品の質においても国際的に高い評価を得ている。

第76回カンヌ国際映画祭に合わせて開催されたパネルディスカッション「中東・北アフリカ360」では、制作、ロケーション、人材を中心としたさまざまなディスカッションを通じて、世界最大の未開拓市場である中東・北アフリカ地域での成功の可能性を探った。

中東・北アフリカ地域は、地元での映画製作への投資そのものは好調だが、観客は自分たちの現実に合った内容の作品を好む傾向があるため、ストーリーもより地域に即したものになり、欧米の観客よりも、実際の客層であるアラブ世界の観客に向けた映画が主流になっている。

「私は中東やアラブ世界の映画に興味があり、20年間作品の配給に携わってきましたが、この地域の映画産業がいろいろな意味で成長しているのを実感している。監督やプロデューサーも増え、これからもさらに発展していくだろう」とフランスのDulac Productions and Distributionの代表、ミシェル・ザナ氏は語った。

パネルディスカッション「中東・北アフリカ360」では、制作、ロケーション、人材を中心とした様々なディスカッションを通じて、さまざまなディスカッションを通じて、世界最大の未開拓市場である中東・北アフリカ地域での成功の可能性を探った。 (提供写真)

中東・北アフリカ地域では、前向きなエコシステムが発達しつつあり、国際的な映画産業との交流の機会も増加している。

サウジアラビアでは、アル・ウラーと未来型大都市プロジェクト「NEOM」がハリウッド映画制作の拠点となっており、最近ではNEOMで『カンダハール』と『デザート・ウォリアー』が撮影された。NEOMでは、100万平方メートルに及ぶ敷地に、50の撮影スタジオ(完全防音のものを含む)、関連企業向けのテナントスペース、学習施設等を持つ大規模なメディアハブの建設が計画されている。

「計画の核となるアイディアは、コンテンツ産業のため本当の意味での地域ハブを作るということだ。この分野は、どの面から見てもサポートが十分とは言い難いからだ」とNEOMの映画部門責任者、ウェイン・ボルグ氏は開発計画の背景を説明した。

サウジアラビアのメディア企業、Yellow Camelの創設者兼最高経営責任者(CEO)、ラシャ・アルエマム氏は、次のように語っている。「あらゆる部分で開放が進み、NEOMやフィルムコミッションのような団体のサポートが得られるようになったが、作品面での発展はまだ始まったばかりだ。私たちには、世界に見てもらいたい、聞いてもらいたい素材が豊富にあり、コメディだけでなく、私たちの文化を反映したリアルなストーリーを持った作品などが、これから数多く生まれてくるだろう」

「世界No.1の映画の拠点 “を目指しているからこそ、「ただの砂漠じゃない。なんならバックロットにロンドンを作ってもいいんです。”「私たちは世界最高の映画産業の拠点になることを目指している。ここはただの砂漠ではない、と私たちが言うのにもそういう思いを込めている。必要があれば、撮影用にロンドンを丸ごともう一つ建設するほどの意気込みでいる」

今年設立20周年を迎えているヨルダンの王立映画委員会のマネージングディレクター、モハンナド・アル・バクリ氏は、これまでの活動を振り返り、同委員会はヨルダン国内に不足している学習機関や映画作りを学べる大学の役割を担い、地元の人々と共に技術やクリエイティブな才能の開発に取り組んできたと説明した。

「ヨルダンの映画産業を見ると、ここ6、7年、私たちの訓練プログラムを通じた新たな才能への投資が実を結び、ヨルダン独自のストーリーによる作品が世界中の映画館や映画祭で人気を集めている」とアル・バクリ氏は述べている。

スーダンではこれまで、映画産業支援の取り組みに対して大規模なバックアップも、政府からの支援もなかった。映画事業は多少の関心を集めるようにはなっていたが、内戦の後、どのような状況になっていくかは、時間が経たなければ分からないだろうとのことだ。

映画『Goodbye Julia』と『Moon Knight』(共に原題)のプロデューサー、アムジャド・アブ・アララ氏は「スーダンは未だ語られていない物語に満ちた国だ」と言う。

「人々がまだ見たことのない顔を、スーダンはたくさん持っている」とのことだ。

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