ワシントン:日本人宇宙飛行士を少なくとも2人、月面に着陸させる方向で日米両政府が最終調整に入ったことが24日、分かった。盛山正仁文部科学相が来月中旬にも訪米し、米航空宇宙局(NASA)のネルソン長官と日本人飛行士の月面での活動内容に関する取り決めに署名する見通しだ。
NASAのアポロ計画で1969年に人類が初めて月面に降り立ったが、日本人による着陸はこれまでにない。NASAは新たに進めているアルテミス計画で、2025年以降の月面再着陸を目指している。
日本政府関係者によると、署名式は来月17日を軸に調整しているが、政治状況次第でずれ込む可能性がある。日本人の月面着陸が実現する時期は不明だ。
アルテミス計画はNASAが主導し、日本やカナダ、欧州諸国などが参加している。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)は今年2月、新たな宇宙飛行士候補に諏訪理さんと米田あゆさんを選抜したと発表しており、現役の飛行士6人を加えた計8人の中から月面着陸の候補が選ばれるとみられる。
NASAは昨年、アルテミス計画の第1弾ミッションで、無人宇宙船を月の周回軌道に投入し、帰還させることに成功した。24年にも実施予定の第2弾ミッションでは、有人の宇宙船を月周回軌道に投入する。第3弾ミッションとなる25年以降の月面再着陸の実現後は、継続的に月面での活動を目指す。
日本人の月面着陸は、バイデン米大統領や岸田文雄首相もこれまで言及してきた経緯がある。ハリス副大統領は今月20日、「20年代末までに外国人の宇宙飛行士を月面に送る意向だ」と表明したが、国籍については言及しなかった。
時事通信