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若き歌舞伎俳優のデビュー、日本の演劇の伝統を打ち破る

松竹が公開した画像  2023年5月2日、東京の歌舞伎座で公式舞台デビューを果たし、パフォーマンスをする尾上眞秀(前列中央)。(松竹 AP経由)
松竹が公開した画像  2023年5月2日、東京の歌舞伎座で公式舞台デビューを果たし、パフォーマンスをする尾上眞秀(前列中央)。(松竹 AP経由)
2023年5月18日、東京・歌舞伎座でインタビューに応じ、ポーズをとる尾上眞秀。(AP)
2023年5月18日、東京・歌舞伎座でインタビューに応じ、ポーズをとる尾上眞秀。(AP)
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03 Jun 2023 04:06:27 GMT9
03 Jun 2023 04:06:27 GMT9

東京:10歳の寺嶋・グナシア 眞秀(まほろ)君は、アニメを見ることと野球をすることが好きだ。彼はビートを作り、ASMRをささやくのを好む。そして彼は、420年の歴史を持つ日本の歌舞伎の伝統を破ろうとしている。

歌舞伎では、すべての役を男性が演じ、美しい姫の役もその中に入る。眞秀君は、尾上眞秀として東京の下町にある歌舞伎座での初舞台公演でこの役を見事に演じ切る。

5月2日から27日まで満席の観客を迎えて行われたこの公演では、まず女性に扮して優雅に踊り、その後、剣を振り回す武将、岩見重太郎に変身する。

そして、舞台上で素早く衣装替えをし、その間にマイクを通さず、澄んだ声を響かせて単調にセリフを言う。

松竹が公開した画像  2023年5月2日、東京の歌舞伎座で公式舞台デビューを果たし、パフォーマンスをする尾上眞秀(前列中央)。(松竹 AP経由)

父の仇を討つため、華麗なポーズをとりながら、剣戟を繰り広げ、毛むくじゃらのヒヒを退治していく眞秀。

「”立ち回り”(戦闘シーン)が好きです。気持ちいいし、見ている人もカッコイイと思うから」と眞秀君は言った。

芸術が人生を模倣する感動の瞬間、眞秀君の祖父である尾上菊五郎が軍神として登場する。眞秀君が演じる石見を褒め称え、芸を続けるよう諭し、常に側にいて目標を達成するよう手助けすることを約束する。

歌舞伎は父から子へと受け継がれるのが一般的で、主として日本人の男性に限られた芸能である。しかし、尾上菊五郎は眞秀君の母方の祖父であり、この若い歌舞伎役者の父ローラン・グナシア氏はフランス人である。

休憩時間に提供される「眞秀 記念のランチ」は、チーズとトマト、ポテトチップスとアボカドディップ、ローストビーフなど、この若手俳優の好物で、劇場で提供される従来の魚や米の料理とはまったく違う。

広告スペースも兼ねた舞台の巨大な幕には、ファッションブランド「シャネル」のフランス人アーティスト、グザヴィエ・ヴェイヤンがデザインした紫とオレンジのひらひらしたドットが散りばめられている。アートディレクターとして、ファッションブランドや現代アート、映画ベンチャーなどを売り込むための会場やインスタレーション、ショップ、イベントなどをデザインしているグナシア氏のアイデアだった。

松竹が公開した画像  2023年5月2日、東京の歌舞伎座で公式舞台デビューを果たし、パフォーマンスをする尾上眞秀(前列中央)。(松竹 AP経由)

息子に歌舞伎俳優のような厳しい仕事をさせることを気にしていないかのように、「恵まれている」とグナシア氏は述べた。

「”心配”という感情は、私の哲学にはありません」と彼は言う。「私はいつも、明日は今日より良くなると信じています。もし明日が今日より良くなければ、明後日が明日より良くなります」

眞秀君自身は、厳格で厳しい芸風を貫き、いつか祖父の芸名である「菊五郎」、尾上家に代々引き継がれてきた歌舞伎界の貴重な名前を名乗るかどうかはまだわからないという。

歌舞伎の子役は、思春期で声が変わるが、まだ大人の役ができるほどには成長していない、難しい過渡期を経験する。その時期を乗り越え、成功するのは本当に強い意志を持った者だけだ。

「認められ、求められる存在にならなければ、役には就けない。情熱が必要です。簡単なことではありません。彼次第なのです」と、眞秀君の母で名優の寺島しのぶは言う。2010年に公開された映画『キャタピラー』での痛快な演技で、ベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)を受賞している。

「簡単ではないけれど、困難な道を選ぶことで、人生はより価値あるものになります。ハードルが高ければ高いほど、登ることに意味があるのです」と寺島は語った。

歌舞伎の舞台は、様式化された踊りやメイク、迫力ある生演奏、凝った衣装やセットなどが特徴だ。歌舞伎のストーリーは、幸薄き恋人同士、自殺、復讐を遂げることなど、さまざまなものがある。また、アクションもあり、回転台や落とし戸など、複雑な演出が施される。ロープを使って俳優が観客の上を「飛ぶ」シーンもある。

日本は外国人やよそ者に対して差別的な態度をとることで知られているが、寺島は、息子がフランスの文化的背景を持っていることが、歌舞伎の世界で彼にとってのユニークな強みになればと期待している。

しかし、彼は自分のように映画俳優になってしまうかもしれない、と寺島は語った。

「感じなければいけない。セリフだけではダメなんです」と彼女は言う。「相手から受け取ったものを自分の中で消化し、それを返す、受け取ったエネルギーで自分の心を変える、そういう演技をしてほしい。それが演技の基本です」

眞秀君は、どちらにも傾いていないが、フランスが好きな理由として、美味しいソーセージ・フランス産サラミが理由だと素直に答えるが、それだけではない。

「フランスにはもっと自由がある」と彼は言い、父親とハイタッチをした。

AP

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