アミン・アッバス

ドバイ：グレッグ・チェン（Greg Chen）、通称Porkkyは台湾系アメリカ人の2Dアニメーターだ。彼は『SPY×FAMILY』、『サイバーパンク：エッジランナーズ』、『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』などの人気プロジェクトに携わり、日本のアニメ界にその名を知らしめた。

彼の日本のアニメや漫画へのインスピレーションは、欧米的なバックグラウンドから来ている。アメリカで育った彼は、Adult Swimなどの吹き替えアニメを放送するチャンネルを通じてアニメに出会った。彼のアニメベスト3は、『スペース☆ダンディ』、『SHIROBAKO』、『リトルウィッチアカデミア』だ。

「アニメ全般に対する最大のインスピレーションは、カートゥーン ネットワークをよく見ていたころに得たものでしょう！僕の好きなアニメーターの一人、吉成曜氏もこの時代のアニメの大ファンなんです」と彼は言う。

もともとPorkkyはゲームデザイナーになりたかったが、すぐにそれは達成不可能であることに気づいた。「ゲームデザイナーになるためには、論理的な問題解決能力を持ち、プログラミングを学ぶ必要があると知りました。それはおそらく私の最も苦手な分野のひとつだったんです」と彼は語る。

「卒業前に教授から、ゲームデザインには向いていないと言われました。しかし、彼は私のアニメーションが面白い方向に進んでいると言い、UCLA映画学部の大学院アニメーション学科に出願するよう勧めてくれました」と彼は付け加えた。

同アーティストは、2019年にフルタイムの2Dアニメーターとしてワーナー・ブラザーズに就職する前に、アニメーションスタジオでフリーランサーとしてキャリアをスタートさせた。そこで2年間働いた後、彼は日本のアニメに対する情熱を育んだ。「同僚の何人かが、なぜかアニメスタジオからコンタクトを受けているのを知ったんです」と彼は語る。

Porkkyはその後、2Dアニメーションを専門とするウェブベースのアニメーションスタジオ、隣アニメーションに就職した。同社は、『僕のヒーローアカデミア』、『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』、『BLEACH 千年血戦篇』などの有名なアニメシリーズを手がけている。

「隣アニメーションに応募したのは、多くの失敗を犯すことなく学ぶには最適だと思ったからです。その頃から1年が経ちましたが、アニメ業界で燃え尽きることなく、今は憧れのスタジオで仕事ができています。これは、1年ではなく、10年はかかると思っていたことです」

キャリアの中で直面した課題について、Porkkyはアラブニュース・ジャパンに次のように語った。「私にとって、それはすべてデッサンに関係していました。全体的にはとても楽しかったですが、私の技術レベルでは、速く、うまく描くことが時々難しかったのです。そのため、質をキープしながらスピードを上げるために、休み時間に練習を続ける必要がありました」

日本と欧米のアニメーションの違いについて聞かれたPorkkyは、それはスタイルよりも制作への向き合い方だと答えた。

「アートスタイルに関しては、欧米の業界では――もちろん、経験豊富であり、適切な指示があれば――多くの人が日本のアニメに適応しやすいのに対して、日本のアニメーターは日本のアニメ以外のスタイルに適応するのが難しいと感じています」と彼は指摘した。

同アニメーターは、たとえ悪い評価を受けたとしても自分の夢をあきらめないよう、これからのアーティストにアドバイスしている。「基本を学ぶことは重要ですが、私のような人間はすぐに飽きてしまいます。そこで、モチベーションを維持するために、少し変化をつけて、よりエキサイティングなことに練習した成果を応用するのも良いでしょう」と彼は勧めた。

「最後に、大きな目標よりも小さな目標を達成するほうがずっと良いでしょう。例えば、今週中にこの動きの練習を終わらせる、とか、今夜までに爆発とエフェクトを紹介するストーリーボードを1ページ作る、などです。大きな目標だと、ピンポイントで達成するのは難しいものですが、小さな目標であれば、より現実的で、アーティストの上達も早いのです」と彼は付け加えた。

Porkkyは現在フリーランスで、毎年の冬休みには家族と一緒に1週間ほど日本を訪れている。これは、彼の家族の出身地である台湾と日本を訪れる旅行の一環だ。中東には行ったことがないが、UAE、サウジアラビア、エジプトに友人がいるという。