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「塩味感じる食器」開発=明大教授ら電気味覚を研究―今年のイグ・ノーベル賞・米

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16 Sep 2023 10:09:48 GMT9
16 Sep 2023 10:09:48 GMT9

ニューヨーク:ユーモラスで独創的な研究を表彰する「イグ・ノーベル賞」の今年の授賞式が14日、オンラインで行われ、電気を使って飲食物の味を変える研究を手掛けた明治大の宮下芳明教授(47)と、東京大の中村裕美特任准教授(37)が「栄養学賞」を獲得した。両氏の研究は、電気による刺激で塩味を感じることができる食器の開発に応用されている。日本人の受賞は17年連続となった。

乾電池をなめたときなど、舌に微弱な電気が流れると、人は独特の味を感じる。これは「電気味覚」と呼ばれ、味覚障害の検査に利用されてきた。宮下氏と、明治大の大学院生だった中村氏は共同で電気味覚について研究。電気を流した箸やストローを用いて、飲食物の味が変化することを報告する論文を2011年に発表した。

両氏はその後も、電気が味を変える仕組みを調査。電気的刺激を利用して塩味を強く感じる技術を開発した。

この技術によって、塩を使わない料理でも「濃い味付け」を実感することが可能になった。宮下氏は、減塩食をおいしく食べられるよう塩味を強く感じられる食器をキリンホールディングスと共同開発し、今年中に発売される予定だ。中村氏も「電気味覚フォーク」を使った「無塩料理のフルコース」を考案した。

宮下氏によると、電気味覚と飲食物の味の変化の関連を調べた研究は11年当時、世界で初めてだった。この論文を皮切りに世界中で研究が進んだといい、宮下氏は時事通信の取材に「13年間ずっと続けてきた研究に光を当ててくれて本当にありがたい」と笑顔で話した。中村氏も「今の研究の端緒に当たる論文が評価されてうれしい」と喜びを語った。今後は人工知能(AI)技術を使い、漫画に出てくる料理の再現など新たな食体験を提案したい考えだ。

イグ・ノーベル賞は、米国の科学ユーモア誌「ありそうにない研究年報」が主催。ノーベル賞のパロディーとして1991年に創設され、今年で33回目。「人々を笑わせ、考えさせる業績」10件を毎年表彰する。

時事通信

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