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ビジネス環境の混乱に見事に対処する、サウジアラビアと湾岸諸国の楽観主義と適応力

リヤドのブールバード・エンターテインメント・シティを訪れる人々。(AFP/File Photo)。
リヤドのブールバード・エンターテインメント・シティを訪れる人々。(AFP/File Photo)。
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21 Jan 2024 03:01:22 GMT9
21 Jan 2024 03:01:22 GMT9
  • アリックスパートナーズのトップのロブ・ホーンビー氏が、WEFでアラブニュースに語った。

ダニエル・ファウンテン

ダボス:世界的コンサルタント企業のアリックスパートナーズが今月発表したディスラプション・インデックスによると、世界と中東地域のビジネスは、地政学的不安、コロナウイルスのパンデミック、サプライチェーンの不安定化、労働力不足、インフレといった要因による混乱に、うまく対処できるようになりつつある。

同社の欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)を統括するロブ・ホーンビー氏はアラブニュースの取材に応じ、この指標の詳細と、それが王国、中東地域、その他の新興市場のビジネス環境にとって何を意味するのかを語った。

「結論からいうと、ビジネスは依然として混乱の中にあります。水準は(過去1年間で)低下しましたが、2020年より前のオールド・ノーマルの状態と比べ、依然として高い状態です」と、彼は述べた。

短期的なプレッシャーは和らいだものの、依然としてビジネスの不安材料となっている要素として、インデックスのなかではインフレと利率を指摘したと、彼は説明する。

アリックスパートナーズEMEA担当責任者のロブ・ホーンビー氏。(提供)

「この1年間に起こったのは、わずかながら混乱が和らぐと同時に、長期的に混乱をもたらしうる要素が急速に重要性を増したということです。地政学はますます複雑化していますし、人口動態、テクノロジーの遷移、気候変動もそうです。こうした要素は消えていたわけではなく、差し迫った危機に隠されていたのです」と、彼は論じた。

「こうした要素はビジネスを支配するわけではなく、対処可能です。ただし、ビジネスがこうした要素に与えられる影響は限られているので、状況に応じた柔軟な戦略を設計する必要があります」「ビジネス界は概して混乱への対処がうまくなってきています。向き合い方を学んでいるのです」

「中東はとくに対処能力にすぐれていると思います。非常に適応力があり、それは柔軟で革新的でなければ新興市場として存在感を示せないからでしょう。中東地域のビジネスは相対的に好調を保つと考えています」

「とくに湾岸地域にとって、混乱は脅威であると同時に、少なくとも同じくらいチャンスでもあります」

「湾岸諸国のこれまでの対応は、戦術的にとても賢明で、熟慮に基づいたものであり、結果としてこの地域は成長期を迎えるでしょう。経済成長という意味だけでなく、影響力、またタレントを惹きつける求心力という意味でも、前途は明るいと考えています」と、彼は語った。

サウジアラビアと中東地域はまた、開発とビジネスの成長のホットスポットでもあり、NEOMのような巨大プロジェクト市場の存在に加え、こうしたプロジェクトの成功に関する楽観は他に類を見ないものであると、ホーンビー氏は論じた。

スイスのダボスで開催された2024年の世界経済フォーラム会合で展示されたNEOM住宅の模型。NEOMのような巨大プロジェクトに象徴される、サウジアラビアを含む中東諸国の発展への野心は、世界の混乱に直面するなかでもこの地域がビジネスに自信と楽観を抱いている証拠だ。(NEOM)

「この地域のどこを訪れても、非常にポジティブな展望に驚かされます。概して政府の強力なバックアップがあり、冷笑主義は見られません。これはとても大きな強みだと思います」と、彼は語った。

「有意義なものを生み出せるはずだという楽観主義と信念があるのです。混乱要因や予測不能の事象が押し寄せるなかで、このうえない強靭さを示しています」

「中東地域は非常に有利な立場にあり、この地域の企業は適切なメンタリティをもっていて、準備が整っており、世界をリードするでしょう。地政学的再編が進むなか、サウジアラビアはとりわけ影響力を強めると考えています」と、彼は付け加えた。

ホーンビー氏は、サウジアラビアの若い人口構造と、若年層でのテクノロジー普及率の高さをあげ、今後10年のうちに到来する人工知能やテック市場の波から恩恵を受けるのに理想的な立場にあるとの見解を示した。

「タレントが豊富で、人口構成も良好です」と、彼は述べ、「ライフスタイルの観点からも向上心にあふれていて、このことが特にサウジアラビアにおいて大きな変化をもたらすでしょう。中東地域は(居住地域としての)こうした利点を活かし、適応と発展をとげつつあります」と付け加えた。

ホーンビー氏は、リヤドが中東地域のビジネスハブとしての魅力でドバイを凌ぐようになるかとの質問に対し、企業が2つのどちらかを選ぶ必要がなくなるまでに発展することを願っていると答えた。

「個人的には、どちらにも明るい未来が待っていると思います」と、彼は述べた。「中東地域の影響力と経済成長には十分な伸びしろがあります。両者が互いと競い合うよりも、世界の舞台での競争に打って出るべきでしょう」

「それに、まだNEOMの話をしていませんでした。NEOMは世界規模の都市を目指す野心的な設計となっており、サウジアラビアに飛躍をもたらすでしょう」と、ホーンビー氏は語り、計画通りに完成すれば「世界をリードする」ものになると認めた。

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