
認証試験不正が相次いだダイハツ工業と親会社のトヨタ自動車は13日、ダイハツの奥平総一郎社長(67)が退任し、後任にトヨタの井上雅宏中南米本部長(60)を起用する人事を発表した。3月1日付。新たな経営陣の下で、不正の再発防止に取り組むとともに、経営再建を急ぐ。
東京都内で記者会見したトヨタの佐藤恒治社長は「ダイハツはトヨタと共に安全安心を第一に置いたクルマ造りを徹底し、風土改革、経営改革など再発防止に取り組んでいく」と述べた。井上氏は「ワンチームで経営改革、風土改革を進めたい」と強調。4月に新体制の経営方針を発表する。
副社長には、トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)の桑田正規副社長が就任する。ダイハツ生え抜きの星加宏昌副社長は留任。松林淳会長は退任し、後任は空席とする。
佐藤氏は井上氏を選んだ理由として、ブラジルなど新興国市場での経験を通じた現場でのコミュニケーション能力を挙げた。佐藤氏はまた、新体制を決める過程で親会社トヨタとの「一体化を含めて検討した」と明らかにした。ただ、取引先企業や顧客からの「激励」などを踏まえ、小型車に独自のノウハウを持つ「ダイハツ」を残すことを決めたという。
ダイハツの不正を巡っては、1月に国土交通省が不正の悪質性が高いとして是正命令を出し、同社は今月9日、認証試験部門の増員などを柱とする再発防止策を提出した。国交省が安全性を確認した一部車種の国内生産を12日に再開したが、全面再開は見通せない。
井上 雅宏氏(いのうえ・まさひろ)同志社大経卒。87年トヨタ自動車入社、ブラジルトヨタ副社長などを経て、19年4月中南米本部長。京都府出身。
時事通信