2023年4月に発覚したダイハツ工業の認証試験不正問題を巡り、親会社のトヨタ自動車が巨額の損失を被ったのは、役員らがダイハツの監督を怠ったためなどとして、トヨタの株主2人が豊田章男会長ら5人に対し、55億円を同社に賠償するよう求める株主代表訴訟を名古屋地裁に起こしていたことが29日、分かった。提訴は10月2日付。
訴えられたのは、豊田会長の他、佐藤恒治社長と元副社長3人。
訴状によると、トヨタは16年にダイハツを完全子会社化。豊田会長らはリスクに対応する内部統制システムを構築せず、不正に関する調査報告書の公表以降も、親会社としてダイハツ取締役らへの責任追及を放置しているなどと訴えている。
トヨタ広報部は「認証不正問題については当社としても重く受け止め、グループビジョンを発表し、トップ自ら風土改革を進めている」とした上、「訴えが提起されたことは遺憾。訴状の内容を確認し、当社の取り組みが裁判に正しく反映されるよう対応していく」とコメントした。
認証試験不正問題を巡っては、ダイハツが23年4月、海外市場向け4車種について、衝突試験の認証申請で不正行為があったと発表。第三者委員会の調査や国土交通省の立ち入り検査で、虚偽記載などの不正行為が確認された。
時事通信