
東京:トヨタ自動車は25日、工場労働者に対し過去25年間で最大の賃上げを行うことで合意した。大幅な賃上げによって中央銀行が来週、重要な政策転換を行う余裕が生まれるとの期待が高まった。
トヨタ自動車、パナソニック、新日本製鐵、日産自動車は、水曜日に行われた年次賃金交渉で、労働組合の賃上げ要求に全面的に応じることに合意した日本企業の大手である。
長い間、日本の経営陣と労働者の協力関係を特徴づけてきたこの交渉は、今年は注視されている。というのも、賃上げによって、中央銀行が早ければ来週にも、長年にわたるマイナス金利政策を終了させる道が開けると期待されているからだ。
世界最大の自動車メーカーであり、伝統的に年次総選挙の行方を左右するトヨタ自動車は、28,440円(193ドル)もの月給引き上げと過去最高のボーナス支給という要求に同意したと発表した。過去の慣例に従い、同社は昇給の割合を示さなかった。
林芳正官房長官は記者団に対し、「賃上げの機運が高まっている」と述べた。「賃上げの勢いが中小企業にも広がることが重要だ」と記者団に語った。
エコノミストたちは、大幅な賃上げは、日本銀行(BOJ)が長年掲げてきた持続可能な賃金上昇と物価安定の目標が見えてきたと宣言し、2016年以来実施されているマイナス金利の終焉を告げるための必須条件だと見ている。
日銀は、低迷する経済を活性化させるため、他の先進国よりも長い間、大規模な景気刺激策と超低金利を続けてきた。
日本最大の労働組合グループである連合によれば、主要企業の労働者は年間5.85%の賃上げを求めており、これが合意されれば31年ぶりに5%の水準を突破することになる。
日本総研のシニアエコノミストで労働問題に詳しい山田久氏は、これまでの「かなり強い」回答から、全体の引き上げ率は4.2%から4.3%、一流企業では5%を超える可能性があると推定した。
同氏はこの上昇について、世界的な賃金上昇傾向、国内の労働力不足、インフレが原因であるとしている。
「それでも、このような大幅な賃上げの持続可能性や、賃上げの流れが今後中小企業に波及するかどうかは不透明だ」と山田氏は述べた。
トリクルダウン効果
さらに明るい兆しとして、小規模製造業で働く労働者を代表する労働組合である、ものづくり産業労働組合(JAM)は、彼らが確保した賃上げは予想を上回るものであり、労働者の意識にも変化が見られると述べた。
JAMの安河内賢弘会長は記者団に対し、「日本人はようやく、国内と国外の賃金格差が大きく広がっていることに気づき始めた」と語った。
中小企業は日本で働く10人のうち7人を雇用しているが、取引先にコストを転嫁する力が弱いため、大幅な賃上げを実施するのに苦労している。
トヨタのような一流企業は、インフレ調整後の実質賃金が22ヶ月連続の下落を覆すことができるよう、川下での賃上げを促進するよう政府から圧力を受けている。
トヨタの東 崇徳人事部長は記者団に、「私たちの成果がすべてのサプライヤーに波及することを望んでいる」と話した。
同部長は、「1次サプライヤーの賃金を2次サプライヤーに転嫁するよう求め続ける必要がある」と述べるとともに、最終的には賃金の決定は各企業に委ねられていると付け加えた。
ロイター