
政府は29日、2025年度予算編成で各省庁が財務省に予算要求するルールとなる概算要求基準を閣議了解した。岸田政権が重視するデフレからの完全脱却と成長型経済の実現に向け、4兆2000億円規模の「重要政策推進枠」(特別枠)を前年度に続き設けた。賃上げの促進や物価高への対応は、要求段階で金額を示さない「事項要求」を認める。要求総額は11年連続で100兆円を超える公算が大きい。
政府は6月に決定した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に、歴史的な物価高を克服した上で、33年ぶりの高水準となった賃上げの流れを定着させる目標を明記した。ただ25年度予算は「金利のある世界」復帰に伴い、国債の利払い費の要求額も増える見通しで、例年以上に難しい予算編成が予想される。
特別枠には、賃上げ促進や物価高対策のほか、防衛力の抜本的強化、少子化対策、脱炭素・デジタル分野の官民投資拡大といった重点施策も含める。政策判断で増減させやすい裁量的経費について、前年度予算から1割削減を求める代わりに、削減額の3倍まで要求できるようにし、成長分野への配分を促す。
さらに、これらの重点施策には幅広く「事項要求」を認める。各省庁は、必要な金額を示さずに事業項目だけで要求することができる。歳出のうち、最も多くを占める年金・医療など社会保障費の自然増加額は4100億円と想定。高齢者の増加ペースが鈍化し、24年度から減ると見込んだが、予算編成過程で伸びの圧縮を目指す。
各省庁は8月末までに要求を提出し、財務省が内容を査定。年末までに予算案を決定する。
JIJI Press