
ドバイ:ドバイに上場しているナショナル・セントラル・クーリング(Tabreed、以下タブリード)は、エマール・プロパティーズのドバイ市街区冷房事業の株式の80%を、24億8800万UAEディルハム(6億7500万米ドル、約737億6800億円)で買収したと発表した。
両社は共同声明において、エマールがタブリードとの長期的なパートナーシップを通じ、同事業において20%のシェアを維持し続けるとも明らかにした。
エマールでは、冷房事業は同社の不動産開発の中心事業に関係していないため、売却を決定したと説明している。
今回の買収には、世界で最も高い超高層ビルであるブルジュ・ハリファ周辺の4つのプラントも関係している。地域の冷房企業は、断熱パイプによって冷水を供給し、オフィス・産業・住宅用の各種建物を冷却している。
同市街地区の冷房事業は、長期コンセッション契約により、ブルジュ・ハリファやドバイ・モール・ショッピングセンターなどを含む地域にこれから最大23万5,000冷凍トン分の冷却を提供していく見込み。
「これは、世界最大の地域冷房市場であるドバイにおける、世界で最大の総合的地域冷房計画です。そのため私たちは、地域冷房事業の買収選択肢の中で、最高中の最高のものを目指してきました」と、ハレド・アブドラ・アル=クバイシ・タブリード社会長はインタビューで語っている。
同会長によると、この取引には国際的な企業やインフラファンドも強い関心を示していたとのこと。「この事業の重要性に注目して、多くの人々が競い合っていました。」
今回の契約は、新型コロナウイルスの拡散を阻止するため4日に始まった、ドバイの2週間のロックダウン期間中に締結される。
ドバイでは、需要の激減によりホテルが操業を停止しており、また道路、公園、公共交通機関への薬品散布により公共のエリアを消毒するため、事実上の夜間外出禁止令が導入されている。
「私たちがこの買収を検討していた頃から、私たちは実際のところ成長について非常に控えめな想定をしていました」とアル=クバイシ会長は言う。.
「もし今のような措置が6か月に及ぶと仮定しても、私たちにはそれほど大きな影響はありません。現在閉鎖されている公共エリアはすべて、まだ冷房を使い続けており、冷房を必要としているのです。」
同会長はまた、タブリードは子会社であるサウジ・タブリードを通じてサウジアラビアでも事業を展開しているが、同国は紅海の近くに新しい都市を建設しており、サウジ市場の成長も見込んでいるとのこと。
「サウジアラビアは、おそらく数年後には世界最大の地域冷房市場になるでしょう。同国の地域冷房の普及率は10%未満と非常に低いのです」とクバイシ会長は語る。
「紅海には、ネオムという名の、巨大なビジネスゾーンとなる新しい都市が建設中で、私たちにとってもビジネス拡大の大きなチャンスとなっています。」
昨年5月の時点で、エマール・プロパティーズが地域冷房事業の売却のため、スタンダードチャータード銀行等のアドバイザーを依頼している、と情報筋は語っていた。
タブリードは、アブダビの国営ファンド、ムバダラ・インベストメント・カンパニーとフランスのエンジーを最大の株主に持つ。今回の買収の資金調達には、新たな金融機関からもサポートを得たと同社はコメントしている。
ロイター