東京:買収企業グループであるカーライル・グループの支援を受けているX線検査機器メーカーのリガクは、10月に国内で新規株式公開(IPO)を行う準備を進めていると、事情に詳しい2人の関係者が語った。
カーライルは、IPOでリガクの市場価値を約3000億円(20億9000万ドル)と見込んでいると、関係者の1人と3人目の関係者が語った。
上場は確実ではなく、市場の状況によっては中止または延期される可能性もあると、情報筋の1人は述べた。
日本の株式市場は、8月初旬にサプライズの利上げと米国の景気後退懸念をきっかけに歴史的な暴落に見舞われたが、その後回復した。
野村、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカが共同でグローバル・コーディネーターを務める、と情報筋の2人は述べた。
リガク、カーライル、野村、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカはコメントを控えた。情報筋は、情報が公開されていないため、身元を明かすことを拒否した。
情報筋によると、カーライルはIPOで株式を売却する。
ロイター通信は、地下鉄運営会社の東京メトロと半導体メーカーのキオクシアが10月に上場を目指していると報じた。
カーライルは2021年1月、同社の第4回日本バイアウトファンドを通じてリガクの約80%の株式を取得すると発表した。当時の同社CEO志村晶氏は約20%の株式を保有している。
リガクは当時、半導体や電子部品の小型化に伴うX線装置の需要拡大を狙っており、今後数年のうちに上場を目指すとしていた。
チップ製造工程の複雑化に伴い、研究開発や生産向けに提供されているリガクの機器による検査の必要性が高まっている。
リガクは、材料科学や製薬などの業界にも機器を販売している。
1951年に設立されたリガクは、2023年度の売上高を前年比約4分の1増の800億円と見込んでおり、売上高の70%を海外で上げている。
リガクの競合企業には、英国に拠点を置くSpectris傘下のMalvern Panalyticalや、米国に拠点を置くBrukerなどがある。
元GEやArteria Networksの経営幹部であった川上潤氏が昨年CEOに就任し、志村氏は会長を務めている。
非中核資産の売却、非公開化、後継者不足に悩む経営陣など、さまざまな理由で日本企業が買収される中、買収ファンドが活躍している。
カーライルは日本では他に、日本ケンタッキー・フライド・チキン、岩崎電気、オリオンビールなどにも投資している。
同社は5月、日本向けとしては過去最大規模となる4300億円の投資資金を調達したと発表した。
ロイター