ニューヨーク:日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収を巡り、同社と全米鉄鋼労組(USW)の仲裁手続きを担当した第三者機関が25日、買収元として日鉄は適格だとの判断を下した。USスチールが結果を公表した。労働協約に違反するとのUSWの主張を退け、経営統合にお墨付きを与えた形だ。
今回の決定は日鉄に追い風となるが、法的拘束力がない上、民主、共和両党の米大統領候補がそろって反対しているため、先行きは見通せない。安全保障への影響を調べる米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)は11月の大統領選後に判断を下す公算が大きい。
発表によると、第三者機関は日鉄が協約を順守すると表明し、買収後も投資や雇用維持を保証したことを評価。労働問題の訴訟などに詳しい3人の専門家で構成する同機関は、8月中旬にUSスチールとUSWの関係者への聞き取り調査を実施していた。
USスチールのブリット最高経営責任者(CEO)は声明で「日鉄との取引を前進させることを心待ちにしている」と歓迎した。日鉄は「USWと前向きな協力関係を築くことに注力する」と強調。一方、USWは「結果に同意しない」と反論した。
時事通信