
ワシントン:国際通貨基金(IMF)は13日、「大災害抑制・救済基金(CCRT)」を活用して加盟国25カ国に即時の債務救済を行い、コロナウイルスの大流行との戦いにより多くの財源を充てられるよう支援すると発表した。
IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、理事会が13日、当初6ヶ月の間、基金への債務返済義務を猶予する第一弾の対象国を決定したと明らかにした。
専務理事によると、「大災害抑制・救済基金(CCRT)」では、現在、英国からの1億8500万ドル、日本による1億ドルのほか、中国、オランダなどの非公開の拠出金を含む、約5億ドルの資金が利用可能だという。IMFは、利用可能な金額を14億ドルに引き上げることを目指している。
利用可能な資金のうち、約2億1,500万ドルが、今後6ヶ月間にわたり最初の25カ国に提供され、最大2年の延長が可能だという。
ゲオルギエバ専務理事は、「これにより、当初の6ヶ月間、最も貧しく脆弱な国にIMFへの債務返済を猶予し、必要不可欠な緊急医療やその他の救援活動に限られた財源をより多く充てられるように支援する」と声明で説明した。
そのうえで、最長期間である2年の間、最貧国の債務返済を猶予できるように、他の資金拠出国に対しCCRTへの出資を求めた。
非営利団体ジュビリーUSAネットワークのエグゼクティブ・ディレクター、エリック・ルコンテ氏は、IMFの措置について、集中治療室(ICU)の病床数が、人口500万人に対し3つしかない中央アフリカ共和国などの、最貧国の支援につながると指摘した。
「素晴らしいスタートだが、この融資を実現するには、さらなる拠出国が必要だ」と述べ、IMFも過去の危機時に行われたように、現在1400億ドル相当の価値がある金の準備資産の一部売却を検討すべきだと付け加えた。
IMFの報道官は迅速に対応できるよう措置を検討しているが、「現時点では金準備の売却は検討されていない」と述べた。
IMFは3月にCCRTの規定を変更する採択を行い、最貧国が呼吸器疾患COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大に対応できるよう、最長2年の債務返済猶予を可能にした。
この変更により、新型コロナウイルスによる重大な影響が出ていなくても、支援を要請できるようになった。ロイターの集計によると、全世界のコロナウイルス感染者は180万人を超え、死者数は115,242人に上っている。
CCRTの前身は、2010年に壊滅的な地震に襲われたハイチへの支援を行った。
その後CCRTに名前を改め、2014年にエボラ出血熱が流行した国々への支援にも活用された。
IMF は、CCRTによる債務返済猶予の第一弾として、アフガニスタン、 ベナン、ブルキナファソ、中央アフリカ共和国、チャド、コモロ、コンゴ民主共和国、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、ハイチ、リベリア、マダガスカル、マラウイ、マリ、モザンビーク、ネパール、ニジェール、ルワンダ、サントメ・プリンシペ、シエラレオネ、ソロモン諸島、タジキスタン、トーゴ、イエメンの計25か国が対象になると発表した。