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IMFが日本のマイナス金利に警鐘を鳴らす

IMFアジア太平洋局副局長のオッド・パー・ブレック氏は、日本は財政支出を押し上げて増税は見合わせるべきだとも述べた。(AFP通信)
IMFアジア太平洋局副局長のオッド・パー・ブレック氏は、日本は財政支出を押し上げて増税は見合わせるべきだとも述べた。(AFP通信)
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16 Apr 2020 06:04:37 GMT9
16 Apr 2020 06:04:37 GMT9

東京:金利の引き下げは、コロナウイルスパンデミックによる打撃を被る日本経済にとって、効果よりもむしろ害になりかねないと国際通貨基金(IMF)高官が述べ、日本銀行のマイナス金利の深堀りに対して警鐘を鳴らした。

IMFアジア太平洋局副局長のオッド・パー・ブレック氏はまた、日本が感染の封じ込めと経済的打撃の緩和に集中するうちは、財政支出を拡大させるとともに増税は見合わせるべきだと述べた。

「COVID-19の短期的な影響を軽減してその後の復興を支援するには、短期的には積極的な財政政策が正当化される」とロイター通信の書面インタビューに答えて同氏は述べた。

IMFは、日本は巨額の公的債務を縮小させるべく消費税を段階的に上げるべきだとこれまで長らく主張してきたが、その見解に今でも拘るかとの質問には、「今は時期的に、増税は適切ではないと我々は考える」と答えた。

日銀は先月、金融政策を緩和し、売上の落ち込む企業に資金を流入させるべくリスク資産購入の増額や新たな融資構想の構築を約束した。

感染拡大の影響が重大化すれば、今月の利率見直し時に日銀は、企業の財政的重圧を緩和すべくさらなる措置を議論することになっている。複数の情報元がロイター通信に語った。

3月の日銀の措置は、市場感情を沈静化して経済状況を緩和するのに効果があったとして、「時宜を得て適切であった」とブレック氏は述べた。

もし市場が機能不全の兆候を見せれば、日銀は資産の買い入れや流動性資産対策を強化することができると彼は述べた。

ブレック氏は、日銀が政策を緩和する際の主要選択肢のひとつと考えられるマイナス金利の深掘りについては、慎重にすべきだと述べた。

「政策金利の引き下げによる経済刺激効果は非常に限定的であるいっぽうで、マイナス金利により金融部門の一部で利益率が収縮する可能性があり、政策金利引き下げの是非はかなり慎重に検討すべきだ」とブレック氏は述べた。

日銀はイールドカーブ・コントロールと呼ばれる政策により、短期利率をマイナス0.1%に、長期借入コストをほぼゼロに誘導している。また、経済に資金を流入させるために巨額の国債やリスク資産を買い入れている。

マイナス金利に反対する人々は、利幅が損なわれることで金融機関が貸付を渋るようになり、資金不足に喘ぐ企業に資金を供給しようとの政府の意図に反する結果を招くと主張する。

政府は先週、コロナウイルス対策として約1兆ドルの景気刺激策を打ち出し、その資金源として、既にひっ迫した財政をさらに締め付けることになる起債の増加計画を発表した。日本は、2月に日本で隔離政策をとったクルーズ船の患者を除き、これまでに8000以上の感染者と162名の死者を記録している。

ブレック氏は、経済刺激策は日本の短期的な経済不均衡を増大させはするが、世界経済が危機にあるなかで、日本経済に与える長期的結果を判断するのは時期尚早だと述べた。

「他の国と同じく、公衆衛生的な危機が終息して経済的損失の程度がより明らかになったところで、日本の中期的な財務調整のペースと規模を再検討する必要があるだろう」と彼は述べた。

IMFは火曜日に発表した世界経済見通しで、日本経済は今年5.2%縮小すると予測し、その後来年には3.0%の成長を回復するとした。

ロイター通信

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