
シンガポール:原油価格は金曜のアジア取引で小幅に上昇したが、ドナルド・トランプ米大統領の対中貿易戦争の再燃と他国への関税引き上げの脅威が痛手となり、3週連続の下落に転じた。
サウジアラビア時間午前8時までのブレント原油先物は32セント高の1バレル74.61ドルだったが、今週は2.8%下落する見通し。一方、米国のウエスト・テキサス・インターミディエート原油は24セント高の1バレル70.85ドルで、週間ベースでは約2.3%下落した。
IGのマーケット・ストラテジスト、イープ・ジュン・ロン氏は「イラン産原油の中国向け輸出に対する米国の制裁措置のニュースにトレーダーが反応したため、原油価格は夜間の不安定な動きから一転、今朝は安定感が戻った」と述べた。
米財務省は24日、年間数百万バレルのイラン産原油の中国向け輸送を支援する数人の個人とタンカーに新たな制裁を科すと発表した。
「とはいえ、(今日の)原油の上昇は限定的で、OPEC+や米国からの増産の可能性、世界の原油需要を圧迫する関税リスクなど、需給面での逆風に対する懸念が根強いことを反映している」とIGのロン氏は付け加えた。
トランプ大統領は、米国の貿易収支を改善するための広範な計画の一環として、中国からの輸入品に10%の関税を課すと発表したが、メキシコとカナダに高関税を課す計画は中止した。
「BMIのアナリストは金曜日のメモで、「関税をめぐるニュースの流れから、潜在的な貿易戦争への懸念が石油需要減退の懸念を煽り、下押し圧力となっている」
「これは、トランプ米大統領が2月4日に発表した、イランに対する最大限の圧力キャンペーンを再強化する大統領令を上回るもので、イランの石油輸出を現在の日量150万バレル以上からゼロにするという公約も含まれている」とBMIのアナリストは述べた。
原油価格は、トランプ大統領が米国産原油の増産を繰り返し、同国が原油在庫を予想以上に急増させたと報告した翌日にトレーダーを不安にさせたため、木曜日には下落に転じた。
また、製油所のメンテナンスが続いていることから需要が軟化し、先週急増した米国の原油在庫も、ベンチマークを圧迫した。
ロイター