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「日産自動車、米国、日本、中国に重点を置き、その他拠点からの撤退、縮小を計画」

経営難に直面する日産自動車は、新たな戦略的方向性に沿い、欧州やその他の地域から撤退し、米国、中国を重点市場とする(Shutterstock)
経営難に直面する日産自動車は、新たな戦略的方向性に沿い、欧州やその他の地域から撤退し、米国、中国を重点市場とする(Shutterstock)
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05 May 2020 01:05:43 GMT9
05 May 2020 01:05:43 GMT9

計画立案に直接携わった情報筋からロイターが得た情報によれば、経営難に直面する日産自動車は、今後の戦略的方向性として、欧州やその他の地域から撤退し、米国、中国、日本に重点を置く計画である。

情報筋によれば、「業務改善経営計画」は5月28日に発表される予定であり、解任された前社長のカルロス・ゴーン氏の積極的な拡大路線からの転換にとどまらない。

特に米国市場で顕著であったが、市場シェアの追求は、大幅な値下げとブランド力の低下を招いた。 今回初めて明るみに出た新3年計画では、日産自動車はディーラーとの関係を修復し、車のラインアップを刷新することで、価格決定力と収益性の回復を目指している。

「新3年計画は、単にコスト削減を目標としたものではない。 将来に向けて種をまくために、事業を合理化すると共に、優先順位を明確化し、集中化を図る」と経営陣の一人は語っている。

計画ではまた、他の自動車メーカーとの競争から逃れ、提携パートナーとの協力拡大を目指しているとされる。中国や日本以外のアジア市場で、より規模の小さな自動車メーカーが主導権を握っているところでは、日産自動車はプラグイン・ハイブリッド車の技術で三菱自動車と協力する。フランスのルノーは、電気自動車技術に力を入れ、欧州市場に重点を置くと思われる。

この件に関し、日産、三菱の両社からコメントを得られなかった。 ルノーからもコメントは得られていない。この計画は、日産自動車の地味な最高経営責任者(CEO)である内田誠氏ではなく、最高執行責任者(COO)のアシュワニ・グプタ氏が主導しており、米国、中国、日本向けの製品と技術に投資するためのリソースを確保することに主眼が置かれていると言われている。

「実質的な狙いは、昨年と比較して今年の研究開発費を削減し、他のコスト削減をするとしても、コア市場以外からの撤退、縮小で解放されたリソースをコア市場やコア製品に投入することにある」と、本件に関してメディアと話す権限がない関係者の一人が、匿名で語った。

コロナウイルスの蔓延を阻止する目的で各国政府によって取られている政策措置が自動車販売に及ぼす長期的影響から、売上高及び利益目標を設定するのが困難を極めていることから、情報筋によれば、計画の最終案が固まるまで更に2週間程度かかることが見込まれている。

今月後半に公表予定の2020年3月期の予測数値である営業利益率3%、売上高13兆円に対し、日産自動車は昨年7月には、2023年3月期に営業利益率6%、売上高14.5兆円(1,358.3億ドル)の達成を目標としていた。 その後、12月に内田氏とグプタ氏が任命され、経営陣が入れ替わっている。

3つの中核市場に重点を置くことは、生産台数でトヨタ自動車に次ぐ、日本で2番目の自動車メーカーにとって、他の市場から完全に撤退することを意味しない。

日産は、キャシュカイとジュークのクロスオーバー・スポーツユーティリティ・ビークル(SUV)2車種の強化により、欧州での存在感を維持することを見込んでいる。 アジアでは、タイとフィリピンでさらに販売を拡大し、オーストラリアを含めた3ヵ国で、中国、日本、インドを除く地域の約90%の売上高と利益を生み出す計画である。

それでも、新計画の元では、インド、インドネシア、マレーシア、南アフリカ、ロシア、ブラジル、メキシコなどでは、アフリカや中近東では堅固なSUVであるパトロールに重点を置くなど、ターゲットをより絞ったラインナップが必要となる。つまり、日産は昨年7月に発表した14のアセンブリ・ラインよりも多くを止める必要があるであろう。既に今年3月には、インドネシアでの生産を停止する計画を発表している。

日産自動車の年間のグローバル生産能力を、これまで工場あたり1日3交代で700万台超としていた。情報筋によれば、新経営計画では、シフトを2交代とし、アセンブリ・ラインを14減らすことで、生産能力は約550万台となる。

横浜に拠点を置く日産自動車は、いつもバーゲン価格で販売されているブランドであるという認知を一掃し、米国市場に踏みとどまることを目指す。北米での売上は伸びているが、営業利益率は低下している。

「何年にも渡って、販売台数が全ての価値判断の基準とされた。そこから一転して販売の質に重点を移し、一夜にして成し遂げた」と情報筋の一人が語っている。 「ただ転換をあまりにも急ぎ過ぎたために、事業に行き詰りが生じてしまった。」

日産の米国モデルの平均発売後年数は5年を超えている。情報筋によれば、平均発売後年数を3.5年に下げるために、日産自動車は次世代のローグ・クロスオーバーSUVを含む、新しく大幅に再設計された車種の発売を予定している。米国ではまた、レンタル会社や大規模運送業者(フリート・オペレータ)等への販売を減らす方針である。

日産自動車は日本でも車の新モデル開発が遅くなっている。情報筋によれば、新経営計画の下で、日産自動車は今後3年間で6車種の新規開発または再設計モデルを投入し、非公開の数値であるが、ラインアップの平均発売後年数を2.5年未満に引き下げようとしている。国内競合他社の車種の平均発売後年数は通常2〜3年である。

日産自動車の新経営計画では、中国では、米国の消費者向けに設計されたモデルを投入するのでなく、世界最大の自動車市場の消費者向けに、より特化したモデルの開発を予定している。情報筋によれば、中国市場専用車であるヴェヌーシア・ブランドは、数多い現地自動車メーカーブランドとの競争によりよく対応するために、ブランドのポジショニングを見直す必要がある。 (1ドル=106.7500円)

ロイター

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