
ヌール・ヌガリ
リヤド:ギリシャのアドニス・ゲオルギアディス開発・投資大臣はアラブニュースのインタビューで、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の訪問はギリシャにとって大きな名誉であり、現在すでに「素晴らしい」状態にある二国間関係をさらに強化するものだと語った。
26日の皇太子のアテネ到着に先立ち、同大臣は「ムハンマド・ビン・サルマン殿下が2018年以来初のEU諸国へのご訪問先としてギリシャを選ばれたことを、私たちは深く光栄に感じています」と述べた。
今回の皇太子のギリシャ訪問は、政治、経済、商業、投資、防衛、安全保障、文化、観光など広範囲にわたってすでに強固なものになっている両国の結びつきを、さらに発展させることを意図したものだ。
「このご訪問は、ギリシャにとっても、ギリシャとサウジアラビアの関係そのものにとっても大きな意味を持っています。なぜなら、私たちは皇太子殿下のリーダーシップ、サウジアラビアに対して持っているビジョン、そしてサウジアラビアという国が再生可能エネルギーや新たなテクノロジー分野において人類の新時代へと進もうとしていることを尊敬し、素晴らしいと思っているからです」とゲオルギアディス開発・投資大臣は語っている。
「皇太子殿下は強力なリーダーだと心から私は信じており、殿下がこの度ギリシャに来られると決められたことが、私たちにとって非常に大きな意味を持っているということは強調しておかなければなりません。ギリシャとサウジアラビアの関係は、単に素晴らしいという以上のレベルにあります。私たちはさらに、防衛分野や政治全般における我々の高いレベルの関係を、経済面でも実現していきたいと望んでいます」
アラブニュースのZoomによる取材にアテネから応えた同大臣はまた、紅海沿岸に建設中のサウジアラビアの新しいスマートシティ、NEOMの開発において、ギリシャの企業や投資家が重要な役割を果たすことを確信していると述べた。NEOMはサウジアラビアの社会改革と経済多様化を目指す「ビジョン2030」の一環として開始された複数の巨大プロジェクトの1つである。
「NEOMが目指すのは、経済成長だけではありません。持続可能な成長、環境への配慮、そして人間の生活水準と幸福度を向上させるためのハイテクの活用を実現して、地球上に暮らす人類の新しい時代を示すプロジェクトなのです」とゲオルギアディス開発・投資相は語っている。
「ですから、数多くのギリシャ企業がこのNEOMという巨大なプロジェクトに参加し、その一翼を担うことに興味を示すと確信しています」
同相はまた、外交、安全保障、ビジネスの分野における両国の関係がますます緊密になっていることを強調し、アテネのアクロポリス博物館で催される特別式典において、皇太子とギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相によって、いくつかの新しい合意事項の覚書が締結されることを確認した。
世界的に有名なアクロポリス博物館は、2009年に一般向けに開館した考古学博物館で、ギリシャで最も貴重な古代遺産・国立史跡であるアクロポリス遺跡で発見された青銅器時代、ローマ時代、ビザンチン時代の遺物を展示している。
この場所で覚書に調印する式典を開催することには、象徴的な意味合いがある。
「これは前例のないことです」とゲオルギアディス開発・投資相は語る。「ギリシャはこれまで世界のどの国とも、アクロポリス博物館という場所で合意事項の覚書を締結したことはありません。これは、私たちがサウジアラビアをとても大切に思っているという気持ちを示す、ミツォタキス首相からの(メッセージ)なのです」
投資と商業に関する覚書には、ゲオルギアディス氏が署名する予定とのこと。「また、防衛分野、ハイテク分野、海事分野での締結も予定しています。文化や文化交流に関する非常に重要な覚書ももちろん含まれます。ギリシャの誇るアクロポリスでの式典は、とても素晴らしいものになるでしょう」
国際貿易に関する国連コムトレードデータベースによると、2020年、ギリシャのサウジアラビアへの輸出額は3億3904万ドル(約463億円)、同国からの輸入額は6億2057万ドル(約848億円)となっている。
二国間の投資を促進するため、サウジアラビア商工会議所理事会は昨年9月、サウジアラビア・ギリシャ ビジネス協議会の設立に向けた覚書に署名している。
「サウジアラビア・ギリシャ ビジネス協議会が設立されたことは、何よりも喜ばしいことです」とゲオルギアディス開発・投資相は語る。「この組織のリーダーに、ギリシャとサウジアラビアから2人の非常に重要な方を迎えられたことを大変光栄に思います。サウジアラビアからは、ルブナ・オラヤン夫人をお迎えしました」
ギリシャの起業家・投資家のアキエレアス・コンスタンタコプーロス氏とともに、アル・オラヤン夫人はサウジアラビア・ギリシャ ビジネス協議会の共同代表を務めている。
ゲオルギアディス開発・投資相はまた、次のように語っている。「オラヤン家は、ギリシャの真の友人です。彼らは1970年代からギリシャに投資をしており、ギリシャが苦境にあった時も、見捨てることはありませんでした。私たちは、オラヤン家を真の友人であり、非常に重要な投資家であると認識しています。彼らと出会って一緒に仕事をしてこられたことは、私にとって喜びであり、また栄誉とも感じています」
「このような重要な方たちが新組織のリーダーになることを決めてくれたという事実は、これらのプロジェクトを発展させていく、またギリシャとサウジアラビアという偉大な両国の間に真の友情と協力を確立していく、私たちのコミットメントと熱意の大きさを証していると思います」
同相はまた、「再生可能エネルギーから農業、食糧安全保障、ハイテクまで」に及ぶ数多くの取引やパートナーシップが間もなく発表されると確信しており、”観光産業と海運の分野にも非常に大きな可能性があります」と付け加えた。
昨年12月、サウジアラビアとギリシャの両国は、商業海運運航の発展、商業船舶の交通量の増加、貿易の奨励を目的とした海上輸送に関する協力合意を締結した。
今年3月には、グリーン水素やブルー水素などの再生可能エネルギーの革新と、東南アジアから中央ヨーロッパまでのデータをつなぐ光ファイバーケーブルネットワークの開発に向けた覚書に両国は調印している。
「このケーブルネットワークは、ギリシャおよびヨーロッパをと、エジプトを経由してサウジアラビアを結ぶもので、非常に重要なプロジェクトになります」と開発・投資相は説明する。
「ギリシャとサウジアラビアはともに、それぞれの地域において地理的に重要な地点に位置しています。ギリシャはEUの入口で地中海に面しており、サウジアラビアはアラブ世界と中東を極東やアジアと結びつけることができる最高のロケーションにあります」
「ですので、重要な場所に位置する両国が、ハイテクを駆使して、人類のため、世界経済のため、また両国の地位向上のために持てる力を結集する機会が今訪れているのは、実に自然なことなのです」
3月13日にサウジアラビアで開催されたサウジアラビア・ギリシャ投資フォーラムでは、両国の投資機会が紹介され、何百件もの二国間ビジネスミーティングが行われた。
ゲオルギアディス開発・投資相は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の訪問を契機とした両国の関係のさらなる深化に大きな期待を寄せており、数多くの貿易協定が間もなく結ばれるのではないかと見ている。
「前回リヤドを訪れた際には、ギリシャの民間企業とサウジアラビアの企業との間で200以上のビジネスに関するミーティングが行われました。続いてアテネでも数多くの(他の)商談が生まれているのです」と同相は語った。
「(それらの商談の)結果も24時間以内に分かってくるのではないでしょうか」