
東京:日本の自動車メーカー日産の最高経営責任者(CEO)である内田誠氏が退任することが明らかになった。同社は業績不振とホンダとの合併交渉の決裂を発表した。
日産自動車は火曜日に発表した声明で、4月1日付で現最高企画責任者のイヴァン・エスピノサ氏が内田氏の職務を引き継ぐと発表した。
日産の株価は、取引開始直後はわずかに上昇したが、東京での水曜日の取引開始直後は1%ほど下落した。これは、前日の夜に発表された内容に対する投資家の懐疑的な見方を浮き彫りにするものとなった。
2003年に日産に入社したエスピノサ氏は、そのキャリアのほとんどをメキシコと東南アジアで過ごし、電気自動車への取り組みを含む製品企画を統括してきた。つまり、彼は社内事情に精通している人物であり、思い切った行動を取ることに消極的な可能性がある。
「日産には、現在見えている以上の大きな可能性があると心から信じています」とエスピノサ氏は記者団に語った。一方で、業績回復に向けた詳細を打ち出すには時間が必要だと強調した。
また、日産に対する愛情を強調し、同社が持つ独自性と価値について深く理解していると述べた。
日産は、長期的な成長を達成するには、経営陣を「刷新」する必要があると述べた。取締役として留任する内田氏は、エスピノサ氏を「本物の自動車専門家」と評し、信頼を寄せていると述べた。また、社内の結束を強化するために、経営のバトンを渡すつもりであると強調した。
「日産は必ず復活する」と、エスピノサ氏とともに急遽開かれた記者会見で自信を見せた。
先月、日産はホンダとの提携解消を発表したが、その直後に内田氏がホンダとの提携解消を発表したことで、内田氏の今後についてさまざまな憶測が飛び交った。当時、彼は記者団に対し、交渉の焦点は日産をホンダの子会社とする方向へと変化したと述べたが、彼はそれを容認できないと非難した。
また、電気自動車やその他の研究など、特定のプロジェクトにおけるシナジー効果を実現するための戦略的提携は継続するとも述べた。
日産は、今月末までの通期で800億円(5億4000万ドル)の損失を計上する見通しである。
ホンダとの協議やその他の提携の可能性について質問されたエスピノサ氏は、時間を要するためコメントを控えた。
内田氏が日産のトップを務めた5年余りの間、米国や中国などの主要市場を含め、販売は低迷した。また、同氏は以前、9,000人の人員削減を発表している。
アナリストらは、日産の先行きは依然として不安定であり、時間的余裕はほとんどないが、エスピノサ氏のような社内出身者ではなく、外部の人間が必要になる可能性があると指摘している。
クレディ・サイト社の自動車アナリスト、トッド・デュビック氏とウィル・リー氏は、焦点は依然として事業の立て直しにあり、ホンダとの統合案ではないと考えている。
「業績回復とホンダとの合併が両立できないわけではないが、少なくともエスピノサ氏の戦略が発表され実行に移されるまで、日産がホンダの子会社になる可能性は低いと見ている」と彼らはレポートで述べている。
世界中の自動車愛好家に愛されるスポーツカー「Z」や、2010年に発売された電気自動車「リーフ」のパイオニアである日産にとって、これは悲しい展開である。日産には誇るべき伝統に加え、確固とした技術力もある。最近では、横浜の本社近くで一般道を走る自動運転車を披露した。
内田氏は2003年に日産に入社し、日本の大手商社である日商岩井から転職した。日産の提携先であるフランスのルノーSAで働いた後、日産の中国事業を統括した。
日産は1999年にルノーによって破産寸前の状態から救済された。2018年、ルノーから送り込まれた元スーパースター経営者カルロス・ゴーン氏は、報酬の過少申告を含む複数の金融不正容疑で日本の当局に逮捕された。その後、日本との間で引き渡し条約を締結していないレバノンに逃亡した。
ゴーン氏の不祥事による日産の企業イメージの低下は大きな課題だったと内田氏は述べた。新型コロナウイルスによるパンデミックや自動車業界全体の大きな変化も同様だった。
内田氏のCEO退任以外にも、日産は経営陣の大幅な刷新を発表した。グローバルマーケティングと顧客体験において、チーフパフォーマンスオフィサーのギヨーム・カルティエ氏に拡大した役割を与えることもその一つだ。
車両企画・車両コンポーネント技術開発部門の明石永一執行役員は、中畔 邦雄氏の後任としてチーフテクノロジーオフィサーに就任した。
平田 禎治(ひらた ていじ)執行役員は、坂本秀行氏の後任として、生産・サプライチェーン管理を担当する最高「モノづくり」責任者兼執行役員に就任する。
最高財務責任者(CFO)のジェレミー・パパン氏も執行役員に任命された。日産の中国経営委員会の委員長を務めるスティーブン・マ氏に変更はない。
AP