
ジッダ:サウジアラビアは10年以上にわたって持続可能性に投資し、砂漠化と闘い、土壌の質を改善し、水を保全する画期的な取り組みを実施してきた。
これらの取り組みは、サウジ・グリーン・イニシアティブ(SGI)の広範な目標に合致し、王国の景観を変えつつある。
最も野心的なプロジェクトのひとつは、リヤドのキング・サルマン・パークで、世界最大級の都市公園である。このイニシアティブは、緑地を増やし、土壌改良し、都市のヒートアイランド現象を緩和することに重点を置いている。
自生木の植林と持続可能な水管理システムは、長期的な環境維持の重要な要素である。
一方、王国の東海岸では、サウジアラムコが土壌浸食を管理し、保水力を向上させ、生物多様性を高める取り組みの先頭に立っている。
しかし、キング・アブドゥッラー科学技術大学(KAUST)の研究室では、最先端の技術が持続可能な土壌ソリューションの未来を形作っている。
KAUSTの准教授であるヒマンシュ・ミシュラ氏は、過去10年間、サウジアラビア最大の環境問題に取り組んできた。水特性の専門家である彼は、初期の研究から王国の水使用ついて気づいた。
「サウジアラビアに来て、水に対するストレスを知りました」とミシュラ氏はアラブニュースに語り「サウジアラビアの水の80パーセントは食糧生産に使われています。心を揺さぶられました」と続けた。
自然が水をはじく能力にヒントを得たミシュラ氏は、水の蒸発を抑えるように設計された生分解性があり、撥水性のある砂のコーティング剤、SandXを共同開発した。
この技術は、蝶の羽や鳥の羽のような自然界の超撥水を模倣し、画期的な素材を生み出した。この素材は水を嫌うので、SandXに水は浸透しない。
SandXの一粒一粒は、生分解性のパラフィンワックスのナノスケールの層でコーティングされており、プラスチックを使わずに水の蒸発を80%以上抑えることができる。
「バクテリアはワックスを分解するので、SandXは再び砂になります。サウジアラビア初の試みで、私たちはそのパイオニアなのです」と同氏は語った。
しかし、水不足は課題の一部に過ぎない。「この水が何年前のものか知っていますか?」とミシュラ氏はボトルを掲げて尋ねた。「この水は私たちの惑星よりも古いのです。水資源には限りがあるが、資源はまだあります。私たちにないのは肥沃な土壌です」と続けた。
サウジアラビアの緑地は輸入ピートモスに大きく依存しているが、これはコストがかかるだけでなく、持続可能性にとっても逆効果だと同氏は主張し「王国は毎年大量のピートモスを輸入しています。数百万ドル規模の市場です。これでは持続可能性の意味がないのです」と続けた。
この問題に対処するため、ミシュラ氏は有機廃棄物から生まれた画期的な土壌改良材であり、炭素回収技術であるCarboSoilを開発した。
炭素を最終的に大気中に放出してしまう従来の堆肥とは異なり、CarboSoilは植物の成長を促進しながら炭素を土壌に固定する。
「これは、土壌改良と炭素回収を同時に行う、唯一の技術です」と同氏は語った。
CarboSoil の実地試験は現在進行中で、KAUSTイノベーション・経済開発助成金を受給し生産規模を拡大している。ミシュラ氏は、そのインパクトは変革的なものになると考えている。
「私たちの技術は、乾燥地域における食糧生産と緑化プロジェクトに貢献するでしょう。この技術を植物に適用すると、植物はより大きく、より強く成長すます。食料生産が向上する。収量も増える。それは、さらなる炭素の回収につながります」
今後、ミシュラ氏はサウジアラビアが二酸化炭素回収で世界をリードすると考えている。
「環境・水資源・農業省の管理下でこの生産を拡大し続ければ、5年も経たないうちに、サウジアラビアは地球上で二酸化炭素回収の納入量ナンバーワンになると保証できます」と同氏は主張した。
この野望は、王国という枠をはるかに超えている。「私たちの目標は、王国の造園・緑化分野に貢献することです」と同氏は語り「第3段階では、養鶏場、ナツメヤシ農場、その他の産業向けの工場を建設することです。第4段階は、より広く他の中東諸国に進出することです」と同氏は結んだ。