Frank Kane

• 26億ドルを節約する大胆な対策が設定され、節約した金額は企業の再建に役立てられる

ドバイ：コロナウイルスのパンデミックによる経済ショックの全体像が、手当やプロジェクト支出を削減し、付加価値税を3倍にするという、サウジ当局が講じる徹底的な対策で明らかとなった。経済学者らは、これら対策を王国財政の「直接的なオーバーホール」と呼んでいる。

対策を発表する際、ムハンマド・アル=ジャドアーン財務相は「国民の保健と生活が最優先です。経済がロックダウンから脱するにあたって、私たちが経済をサポートできるよう、財政力を確実に維持したいと考えています。発表された対策から言えることは、経済学者や他の分野の専門家チームが考案したこれら対策が、国の経済と財政力に与えるダメージが最も少ないということです」と述べた。

アブダビ商業銀行のチーフエコノミストであるモニカ・マリク氏は、「より大きな調整が不可欠であるため、この改革は財政面としては肯定的です」と語った。

EFGエルメスでマクロ経済分析の責任者を務めるモハメド・アブ・バシャ氏は、「これらは政府財政収支の急激な悪化によって必要となった、非常に大胆な対策です」と語った。

この発表を受けてタダウル指数は1.18パーセント下落したが、それでも先月の石油価格戦争の際に記録した最安値をある程度上回っている。報道を受け、ソブリン債の価格は上昇した。

同財務相は、この対策によって約260億ドルが節約され、その金額はパンデミックさなかの医療と企業支援に再配分されると話した。さらに、今年の赤字を埋めるためにすでに示されている2,200億サウジアラビア・リヤル（587億ドル）は依然として十分であると付け加えた。

王国の財政はまた、パンデミックによる世界的な石油需要低下の結果、石油関連収入が劇的に減少したことで打撃を受けている。

「世界中でこれほどのことが起こっていますが、私たちは改革を継続することを約束します。私たちは、財政力を確保し、準備金を維持し、財政バッファーを維持することを約束します。支出は削減するのではなく、再配分をします」と、アル=ジャドアーン財務相はブルームバーグの電話取材で語った。

同財務相は、王国のロックダウンによって消費支出が低水準となっている状況で、付加価値税増税がすぐに大きな収益を生み出すわけではないことを認めた。「私たちがこの苦境から抜け出す際に、政府が経済をサポートし、民間部門をサポートして、この期間中に倒産や廃業が起こらないようにします。」

ケンブリッジ大学で湾岸諸国を専門とするジョン・スファキアナキス氏は、付加価値を3倍にすることで、経済が「深刻な景気後退に陥り」、収益と消費のバランスの限界を試すことになると語った。

この驚くべき財政パッケージには、一時的な措置として、政府職員に対する1か月1,000サウジアラビア・リヤルの生活費手当の削減も含まれた。

石油依存から脱却して経済の多様化を目的とする、ビジョン2030改革計画の一部のプログラムも支出の見直しが行われており、影響を受けることとなる。しかし、巨大プロジェクトのNEOMや紅海開発など、主要なプロジェクトは継続している。 「以前ほどのスピードはないかもしれませんが、それらは継続しています」と大臣は付け加えた。

同大臣はまた、従来の公務員の給与との格差を狭めることを目的として作成された「新しい政府機関」の給与体系の見直しを発表した。

リヤドに本拠を置くアルラージヒ・キャピタルの調査責任者マゼン・アル=スダイリ氏は、付加価値税増税の効果がインフレ水準にどう影響するかを語るのは時期尚早であるが、上昇は「とどまる可能性がある」と語った。

野村アセットマネジメント・ミドルイーストのタレク・ファドラッラー最高経営責任者は、「サウジ経済の多様化および非石油収益の向上に対する巧妙なアプローチは動きが遅すぎます。当局は、長期的な利益を期待して、経済の痛みを伴う直接的なオーバーホールに誘導する必要性を容認しています」と話した。