
東京:鼻毛ワックスからコンパクトなガジェット、カラフルなパーティー用コスチュームまで何でも揃う日本のディスカウント・チェーン、ドン・キホーテのビジネスが好調だ。
東京の賑やかな渋谷にあるドン・キホーテの大型店では、何百人もの観光客が狭い通路をひしめき合いながら、お菓子やお土産をカゴに詰めようとしている。
「最初はかなり圧倒されました。あまりに選択肢が多すぎて、すべてが違う言語で書かれているからです」とアメリカから来た27歳のガレット・ブライアンはAFPに語った。
でも「たくさん買った気がするし、たった70ドルくらいだった」。その中には「母用のコーヒーカップ、扇風機、ゴジラの箸、おもちゃがいくつかあった」
「ドンキ」の愛称で親しまれる混沌とした安売り店は、1980年代に安田隆夫氏によって設立された。安田氏は、ビジネスのインスピレーション源であるスペインの古典小説『ドン・キホーテ』の理想主義的な主人公にちなんで、この店を名付けた。
安田氏は、深夜営業や価格・品揃えの多様化など、新しい戦術で日本の堅苦しい小売業界に揺さぶりをかけようと考えた。
現在、円安に後押しされた記録的な訪日客の流入が、日本全国の売上を押し上げている。
日本のドン・キホーテの売上高は「パンデミック前より1.7倍ほど高い」と、同小売店のマネージャー、原元樹氏は語った。
親会社のパンパシフィック・インターナショナル・ホールディングス(PPIH)は昨年、ドンキを含むディスカウント・チェーンの売上高が前年比約12%増加し、免税売上高は社内予測を上回った。
ドン・キホーテでの買い物は「宝探し」のようなもので、外国人観光客が好む楽しい体験だと原氏はAFPに語った。
ドン・キホーテ限定の人気商品である桜風味のキットカットの列を横目に、「お客さんは結局、来た目的とは違うものを買っていくんです」と原氏は語った。
ドン・キホーテとその姉妹ブランドは日本に501店舗あり、昨年度中に24店舗が新規オープンした。
PPIHグループは海外でも110店舗を展開しており、アメリカ、台湾からタイまでのアジア全域に出店している。
東京を拠点とするコンサルタント会社JapanIQの創設者であるアナリストのポール・クラフト氏によると、カリフォルニアは同社が事業拡大のターゲットとしている場所のひとつだという。
しかし、その計画はドナルド・トランプ米大統領の貿易関税(日本への24%の課税を含む)によって複雑になる可能性がある。
それでも、「この高関税の環境下でも、私は彼らに賭けるつもりはない」とクラフト氏は言う。
「日本の小売業において、ドン・キホーテほど素早く適応する企業はない。
彼らはまた、「私が見てきた中で最も賢く、最も積極的なバイヤー」であり、常に「ほとんど何でも最高の品揃え」をしている。
しかし、少なくとも日本では、ショッピング体験は「窮屈で、暗くて、建物は古いかもしれない」し、商品は「いたるところからぶら下がっている」ように見える。
ドン・キホーテのどこにでもいるサンタ帽をかぶったペンギンのマスコット、ドンペンと「ドンドンドンキ」のジングルが繰り返されるだけで、「ジャングル」のような体験に拍車がかかる。
「ほとんど五感を襲うようなものだ」とクラフト氏は言う。
それでも、ドン・キホーテは「日本では非常に重要な小売業者に成長した」とクラフト氏は言う。
3月の日本のコアインフレ率は3.2%に加速し、消費者は電気代やキャベツや米のような台所用品にピンチを感じている。
2024年の家計消費は1.1%減少し、節約のためにドン・キホーテに足を運ぶ人もいる。
「他の店より安いし、有名ブランドも置いてある」と、週に2回この店で買い物をする東京在住の黒木姓の女性は語った。
楽昭二さん(20)はAFPの取材に対し、「シャンプーや電化製品など、他にはないものは何でもドンキで買う」と語った。
ドンキの店舗には通常、様々な性玩具を販売する大人専用のコーナーがある。
ドンキは来年、免税品を中心とした訪日観光客向けの新店舗を2店舗オープンする予定だ。
しかし、ドンキの客の一人であるブラジル出身のブルーノ・ボシは、買い物客は慎重に行動すべきだと語った。
「ドンキは好きなものを好きなだけ買える店だが、それが必要かどうかは自問自答する必要があると思う」と彼は語った。
AFP