Frank Kane
ドバイ:サウジアラビアの政府系ファンドは、現在の経済混乱の中、バーゲンハンティングを行っており、世界で最も有名な企業数社で約77億ドル相当の株式を取得している。
3,000億ドル規模の公的投資ファンド(PIF)は、ボーイング、フェイスブック、ディズニー、マリオット、スターバックスなどの代表的グローバル企業の株式を取得した。また、シティグループとバンク・オブ・アメリカの2つの大手銀行に投資し、大手石油会社のBP、トータル、ロイヤル・ダッチ・シェルの株式も保有している。
株式市場の専門家らは、このPIFの買いあさりは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により経済的影響を大きく受けた企業は急速に回復し株価は上昇するという、PIF側の自信を反映していると述べた。
野村アセットマネジメント株式会社中東拠点の代表を務めるタレク・ファドラッラー氏は、「PIFは株価を長期的な視点から見ているようだ。PIFは今後株価が上昇すると見越して、株価が下落したときに取得したと推定される」と『アラブニュース』に語った。
PIFはその投資の論理的根拠を説明し、PIF自身について、「長期的な視野を持つ辛抱強い投資家である。そのため、サウジアラビアの人々にさらなる利益をもたらし、国の経済成長を推進する一方で、長期的なリターンを生み出す強力な可能性を秘めたサウジアラビアと世界の両方で戦略的な機会を積極的に模索してる」と述べた。
米国株式市場規制当局への開示によると、PIFは24の企業で約100億ドル相当のポジションを保有している。配車アプリウーバーについては最大規模となる20億ドル強相当の株式取得を既に開示している。
その次に大きな投資はBPへの投資で、8億2,700万ドル相当の約3,400万株となっており、続いてボーイングの株式が7億1,300万ドルとなっている。フェイスブックとシティグループの株式はそれぞれ約5億2100万ドルと評価された。
新しいPIFのポートフォリオは、旅行業界、エンターテイメント業界、ホスピタリティ業界に大きく偏っており、マリオットホテルチェーン、オンライン旅行会社のブッキング・ドットコム、イベントプロモーターのライブ・ネイションの株式を保有している。
また、シスコ、クアルコム、ブロードコムといったテクノロジー分野への投資や、ファイザー社の株式を介した医薬業界にも関心がある。
注目すべき小規模な株式取得の一つは、最近の株価の悲観的な見方により多くの株式を売却した伝説的投資家ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイだった。
サウジアラビアの銀行家はこれについて「これはバフェット氏よりもPIFのほうが楽観的であることをバフェット氏に示すPIFの生意気なやり方だ」と述べた。
世界的な都市封鎖が始まった後の株価暴落により、米国株の価値が約30パーセント下落した。しかしその後の連邦当局による大規模な財政出動により、その下落幅の約半分を回復している。