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日本の景気が後退、コロナによる混乱で景況悪化へ

この2020年3月18日撮影の資料写真では、東京の証券会社の電子掲示板に人々が映し出されている。コロナウイルスの感染拡大により生産、輸出、設備投資が抑え込まれる中、日本の経済成長率は今年第1四半期にリセッションの状態にまで落ち込んだ。2020年5月18日に発表されたレポートによると、今後さらに景気が悪化するとの懸念は増大している。(AP)
この2020年3月18日撮影の資料写真では、東京の証券会社の電子掲示板に人々が映し出されている。コロナウイルスの感染拡大により生産、輸出、設備投資が抑え込まれる中、日本の経済成長率は今年第1四半期にリセッションの状態にまで落ち込んだ。2020年5月18日に発表されたレポートによると、今後さらに景気が悪化するとの懸念は増大している。(AP)
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18 May 2020 06:05:52 GMT9
18 May 2020 06:05:52 GMT9

東京―日本経済は4年半ぶりに景気後退局面に突入した。コロナウイルス危機が企業や消費者を直撃する中、戦後最大の不況への道を歩んでいる。

月曜日に発表された今年第1四半期の国内総生産(GDP)の数値は、コロナウイルス拡大の影響を裏付ける形となった。世界各地の都市封鎖やサプライチェーンの混乱により日本製品の輸送が滞る中、輸出が2011年3月の東日本大震災以来、最大の落ち込みをみせた。

日本では政府が4月、国民に対しては外出の自粛を、事業者に対しては休業を要請したことにより消費が冷え込んだため、アナリストは、本四半期にはさらに景況が悪化すると警告。政治家たちは100年に一度といわれるパンデミックの状況下、大きな課題を突き付けられている。

「本四半期には、経済がより一層落ち込むことはほぼ確実だ」。明治安田総合研究所のチーフ・エコノミストであるコダマ・ユウイチ氏は、このように述べた。「日本は本格的な景気後退局面に突入した」

世界第3位の経済大国である日本のGDP(速報値)は今年第1四半期、年率換算で3.4%減となり、市場予測の平均値である4.6%減よりも下げ幅は小さかった。

今回のGDPの数値は、昨年10~12月期の7.3%減というより大きな下落に続くもので、専門用語としての不況(リセッション)の定義に見合う2期連続の下落となった。日本が前回、不況に陥ったのは、2015年下半期。

昨年後半に中国で最初に発生したコロナウイルスは、感染拡大を抑制するために数多くの国々が厳しい都市封鎖を行う中、世界経済に打撃を与えてきた。これまで、コロナウイルスによる死者は世界で31万人以上出ている。このパンデミックは、サプライチェーンや企業活動に大きな混乱をもたらしている。特に、日本のような貿易に頼る国では深刻だ。

実際、コロナが日本企業に与えた影響は大きく、今年第1四半期の輸出は6.0%減となり、2011年4~6月期以来最大の下落率となった。

景気低迷が深化、回復は遅く

世界貿易の落ち込みは、直近の3月のデータで強調されている。米国向けの貨物が急減したため、輸出はこの4年近くで最大の縮小幅となった。

世界中で取引を行う日本の大手製造企業も、パンデミックの影響を逃れられなかった。

トヨタ自動車は金曜日、需要低迷のため6月の国内の自動車生産を12万2000台減らすと発表した。同社は今年1年間の営業利益について、ここ9年間で最低の80%減を見込んでいる。

日本経済の悲観的な空気は、今後数ヵ月でさらに深刻化する見通しとなっている。

ロイターの調査に対しアナリストは、安倍晋三首相が4月、コロナウイルスの感染拡大を受けて全国を対象にした緊急事態宣言を出した後、生産活動に対する抑制圧力が高まったため、日本経済が本四半期に年率換算で史上最悪となる22.0%減を記録すると予測している。

緊急事態宣言は木曜になり、ほとんどの地域で解除となったが、東京を含むいくつかの大都市では継続された。

日本の5兆ドル規模の経済の半分以上を占める個人消費は、1~3月期に0.7%下落した。食料品や日用品の高い需要がサービス関連消費の落ち込みを一部相殺したため、市場予測の1.6%減よりは小さかった。

それでも、各家庭がコロナウイルスと、昨年10月の8%から10%への消費増税という二重苦を被る中、日本経済は2四半期連続で落ち込みを記録した。

GDPのデータによると、設備投資額は、昨年10~12月期に4.8%減となった後、今年第1四半期に0.5%減となった。これは、見通しの不透明さにより、企業が支出を増やすのを控えていることを示唆している。

全体的に見れば、内需はGDPの成長率を0.7%押し下げた一方、外需も0.2%減少させた。

こうした状況は、労働市場にも影響をもたらしている。3月の失業率はここ1年間で最悪となり、雇用機会はここ3年間の最低を下回るまで落ち込んだ。

政府は既に、史上最大の1.1兆ドルの景気刺激策を発表しており、日本銀行も4月、2ヵ月連続となる金融緩和の強化を打ち出した。安倍首相は、コロナウイルス感染拡大の経済的打撃を緩和するための新たな財政出動を実行するべく、今月後半に2回目の補正予算を組むことを約束した。

それでもなお、多くのアナリストたちは、政府の支出計画の実行が遅れていることから、その支援があまりに少なく、遅過ぎると警鐘を鳴らしている。

「日本ではいつものことだが、実行が非常に遅い。(政府の刺激策が開始されるのは)第2四半期の後半、さらには第3四半期になるだろう」。富士通のチーフ・エコノミストであるマルティン・シュルツ氏はこのように述べた。

「経済の回復は、多くの人が願っている時期よりも遅くなるだろう。この危機から回復するためには、少なくとも2年はかかる」

ロイター

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