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米価、政治問題として過熱

2025年6月4日、新潟県三条市の農場で、移植機を使って田植えをする農家。(AFP=時事)
2025年6月4日、新潟県三条市の農場で、移植機を使って田植えをする農家。(AFP=時事)
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12 Jun 2025 02:06:27 GMT9
12 Jun 2025 02:06:27 GMT9

三条(日本): 鮮やかな緑色の苗を植えたばかりの山崎聡氏の米農家はいつもどおり平穏だ。だが、日本では主食である米の価格をめぐる争いが、投票箱で政府に打撃を与えようとしている。

供給網の寸断による穀物不足で、価格は1年でほぼ2倍となり、インフレへの不満を煽っている。来月に予定されている参議院選挙で、有権者は怒りを露わにするかもしれない。

消費者や飲食店の痛みを和らげるため、政府は3月から緊急備蓄の利用を開始した。

害虫を食べてくれるアヒルを使って米の約10%を有機栽培している山崎氏は、価格が高いことは庶民にとって「困ったこと」だと理解していると述べた。

しかし彼は、薄利多売が生産者の多くにとって懸念材料であることを強調した。

「店頭価格と、農家が業者などに米を売る価格との間にはギャップがある」と彼は新潟県北部でAFPに語った。

「店頭で支払われる金額すべてが私たちの収入になるわけではありません」と、7児の父である42歳の山崎氏は語った。

品不足の背景には、2年前の猛暑と乾燥による全国的な収穫被害など、さまざまな要因がある。

それ以来、一部の業者は後々の利益を上げるために米を買いだめしている、と専門家は言う。

この問題は、昨年の「巨大地震」の可能性に関する政府の警告によって引き起こされたパニック買いによって悪化した。

一方、輸入食品の価格高騰が国産米の人気を押し上げ、記録的な観光客の数も消費急増の原因となっている。

小泉進次郎農相は、備蓄米を小売店に直接販売することで、より早く価格を引き下げることを約束した。

平均小売価格は5キロで4,223円(29ドル)と、5月の最高値4,285円から2週目も値下がりしている。

それでも、選挙を見据えた野党の政治家たちやネット上の批評家たちは、備蓄米を「古い」と決めつけ、家畜の飼料に例える者もいる。

しかしアナリストたちは、日本の数十年来の稲作用地削減政策を非難している。この政策は、日本人の食生活の変化による需要の減少によって打撃を受けていた価格を支えるために導入された。

1971年の政策では、農家は穀物の栽培面積を減らし、他の作物を優先するよう指示された。

その結果、家畜の飼料用を除いた水田の面積は、1960年のピーク時の330万ヘクタールから、2024年には140万ヘクタールを割り込んだ。

この政策は2018年に正式に廃止されたが、農家を大豆のような他の商品に向かわせるインセンティブという形で続いてきた。

危機に拍車をかけているのは、日本の高齢化だ。多くの稲作農家は高齢であり、その子供たちは後を継ぐことに関心がない。

稲作農家の80%は2ヘクタール未満のパートタイム農家だが、生産量の20%しか占めていないと、農学の専門家である宮城大学の大泉和之名誉教授は言う。

彼らの主な収入は他の仕事や年金から得ている、と彼は付け加えた。

秋田県北部の大規模農家の会長で、何十年にもわたり作付面積削減に反対してきた涌井徹氏は、日本は「米の増産と海外市場への輸出を目指す」べきだと述べた。

「生産量を増やしながら国内市場のことだけを考えれば、当然価格は下がる」と彼はAFPに語った。「海外市場を探す必要がある」

涌井氏(76歳)は、「55年間の減反は日本の農業を破壊した」と述べ、先月の書簡で小泉大臣に「米の生産拡大を宣言する」よう求めた。

涌井氏はまた、銀行や商社を含む他のセクターを巻き込むことで、畑や機械への初期投資の負担なしに若者が農業ビジネスを始めるのを支援するスキームを日本が検討すべきだと述べた。

石破茂首相に対する国民の支持率は、10月の就任以来最低の水準に落ち込んでいる。地元メディアは、インフレ率の急上昇と米価の高騰が一因だと伝えている。

石破茂首相は国会で、価格を抑えるために増産も「選択肢のひとつ」だとしながらも、食料安全保障と生産者の生活も重要だと述べた。

農家の山崎氏にとって、「高品質で安い米を求める」のは夢物語だ。

「私たち農家は、突然脚光を浴びたことに少し困惑しています」

「しかし、米がどのように生産されているのか、一般の人々が考える良い機会だと思います」と語った。

AFP

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