
上越:半世紀以上にわたり、日本政府は、国民食である米の価格を比較的高く安定的に維持するため、米農家に減産を奨励してきた。
しかし、今年発表された野心的な農業政策のもと、東京は、価格の下落や政治的に影響力のある農民の利益を損なうことなく、国の食糧安全保障を確保する豊作の未来を想定し、政策の転換の準備を進めている。
この新しい方向性は、日本人がこの重要な主食不足に直面し、歴史的な価格高騰、輸入の急増、そして同盟国間の難航する貿易協定の一環として米国産米の購入を日本側に改めて要求しているドナルド・トランプ大統領の関心も高まっていることから、予想外の緊急性を帯びている。
この政策は、保坂一八氏のような多くの農民が原則的に歓迎しているものの、実際にどのように機能するかの疑問が残っているため、不安も抱いている。政府は来年半ばまでにロードマップを完成させることを目指している。
新潟県北部の農場で、保坂氏は「政府には生産者に対する何らかのセーフティネットを確保してほしい」と語った。
「飼料用や加工用米を主食米に切り替えることは簡単だ。しかし、新しい水田を耕す、あるいは小麦や大豆から転換するには、労働力、機械、あらゆる投資が必要になる」と述べた。
今年、保坂氏は180ヘクタールの農地の10ヘクタールを除き、すべて主食米の栽培に充てた。飼料用米の栽培面積を20ヘクタール削減したのは、価格が魅力的だったためだ。しかし、2027年産から実施される新政策下で日本の生産量が抑制されなければ、価格が急落する可能性があると懸念している。
「矛盾した気持ちだ」と、今年5キロ袋の小売米価格が4,000円(約27.80ドル)を超える倍増となった全国的な危機について、保坂氏は述べた。
「米価格が生産者と消費者の双方にとって受け入れ可能な水準で安定することが重要だ」と彼は述べた。彼は、価格が3,000~3,500円前後で安定することを希望している。これは、石破茂首相も有権者が受け入れられる水準として希望している水準だ。スーパーマーケットの価格は6月22日までの7日間で5週連続下落し、3,801円となったが、前年同期比では70%高い水準を維持している。
国家危機
日本人にとって、米は単なる主食を超えた存在だ。
2,000年以上栽培されてきた米は、土着の神道において神聖視され、地域伝統や文化に深く根付いている。日本人は短粒種のジャポニカ品種に誇りを持ち、貿易障壁を設け市場を保護してきた。
そのため、今年米が贅沢品に転じた際、消費者は怒りを募らせ、政策決定者は7月20日の参議院選挙を控え懸念を深めた。政府は選挙を念頭に、備蓄米を緊急放出し、5キログラム(11ポンド)あたり約2,000円($13.83)で販売している。
農家(石破氏の自由民主党にとって伝統的に重要な投票層)には、これは日本の食料安全保障を保護し、消費者が国産米から永久に離れるのを防ぐための緊急かつ必要不可欠な措置だと説明された。
しかし、過去50年間の大部分において、日本は逆の政策を推進してきた。米以外の作物の生産を促進するため、農家への補助金を提供し、過剰生産と価格下落を防ぐためだった。
このシステムは昨年、農林水産省が2023年の熱害による収穫量を誤算したため、8月に深刻な不足が発生した。その後の価格急騰は、世界的な価格下落に逆行する日本の異常事態を浮き彫りにし、そのアプローチのリスクを露呈した。
新政策が成功すれば、2030年に35万トンの米を輸出に割り当てることで再発を防止できる。これは昨年の4万5,000トンから8倍の増加で、不足が発生した場合、国内市場に再配分できると政府は説明している。
一部の農業専門家は、この政策は現実的ではないと指摘している。高価な日本米を海外に輸出する考えは直感に反する上、日本自身も341円/kgの関税を課していたにもかかわらず、記録的な輸入量を維持している状況下では特にそうだ。
また、日本人は米国産のカルローズ米に慣れ親しんでおり、台湾、タイ、ベトナムからの輸入米も企業やコスト意識の高い消費者から人気を集めている。
「高価な米はニッチ市場では売れるかもしれないが、35万トンまで増やすには価格競争力が必要で、その道は遠い」と、宮城大学名誉教授で農業経営の専門家である大泉一之氏は述べた。
政府は一定の支援を提供する方針だが、農家にも経営の統合や人工知能(AI)などの技術活用による生産コスト削減の努力を期待している。
一方、保坂氏は、肥料、農薬、燃料の価格が急騰し、生産コストが急上昇していると述べた。
「厳しい状況だ」と彼は述べた。「政府は備蓄米を相当量放出しているため、価格がさらに下落する可能性が非常に心配だ」
ロイター