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イラン系アメリカ人と米国外交政策立案者がワシントンでライシ大統領就任の抗議集会

大統領就任直前のイランのイブラヒム・ライシ氏の手で親族を死に追いやられた数百人のイラン系アメリカ人がワシントンで集会を開き、ライシ氏の責任を問うことを米国とその同盟国に求めた。(提供:OIAC)
大統領就任直前のイランのイブラヒム・ライシ氏の手で親族を死に追いやられた数百人のイラン系アメリカ人がワシントンで集会を開き、ライシ氏の責任を問うことを米国とその同盟国に求めた。(提供:OIAC)
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03 Aug 2021 06:08:34 GMT9
03 Aug 2021 06:08:34 GMT9
  • 8月3日にテヘランで大統領に就任するイブラヒム・ライシ氏は、数千人の政治犯の処刑に関与したとして人道に対する罪で告発されている
  • イラン政府にとっては「制裁緩和が唯一の選択肢」と元外交官のマーク・ギンズバーグ氏がアラブニュースに語る

クリストファー・ハミルスチュワート

ロンドン発:30年以上前にイブラヒム・ライシ新イラン大統領が関与した茶番劇の裁判で処刑された人たちの親族であるイラン系アメリカ人数百人が、8月2日にワシントンで集会に参加した。集会の参加者たちは、ライシ新大統領に人道に対する罪の責任をとらせることを米国とその同盟国に求めていた。

アラブニュースの記者もその場に臨んだが、集会では米国の外交政策に携わる多数の現・元高官が演説を行った。高官たちはデモ参加者への支持を表明し、イランの体制側に当時の行為の責任をとらせるべく、正義を求める呼びかけに、賛意を示した。

イラン・アメリカ・コミュニティ協会(OIAC)が主催するこの集会は、ライシ氏がイラン大統領として正式に就任する前日に、アメリカ合衆国議会議事堂の広場で行われた。

集会参加者は、バイデン政権やより広く国際社会に明確なメッセージを送った。「ライシ氏は指導者ではなく、国際的な戦争犯罪人であり、そのように取り扱われるべきだ」

テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員は群衆に次のように語りかけた。「あまりにも長くイランの人々は(最高指導者の)アリ・ハメネイ氏とイブラヒム・ライシ氏の手の下で苦しんでいる。自由と正義を求めるイランの人々の叫びは世界中に響き渡り、自由を愛する米国人はこれを支持している」

「私たちは大虐殺の犠牲者たちの家族の側に立ち、バイデン政権が制裁を通じてライシ氏とハメネイ氏の責任を問い、人道に対する罪でのライシ氏の訴追を求めるように強く促す」

イベントの際にアラブニュースが話を聞いた多くの人が、1980年代後半に愛する人を殺害されたと述べた。ライシ氏は当時テヘランの検察官として、アムネスティ・インターナショナルが「死の委員会」と呼ぶ、イラン・イラク戦争後の政治犯の茶番劇裁判を司った。体制側に嫌われ、暴力的に壊滅させられたイランの革命的反体制グループ、モジャヘディネ・ハルグ(MEK)に所属あるいは支持しているとの理由で、数千人が処刑された。集会の際にアラブニュースが話を聞いた全員が、MEKを支持し続けると述べた。

エシュラット・デガン氏は死の委員会で3人の息子を失ったという。この犯罪やそれ以外にも数千の犯罪を理由に、ライシ氏は「国連への立入りを認められるべきではない」と、デガン氏は述べた。

 

「バイデン政権は体制側と闘うイラン国民やMEKを支援すべきだ」とデガン氏は訴えた。彼女自身、体制側の拷問を受けて、歩行に杖が必要になったという。

MEKは長年テロ組織としてリストアップされていたが、2012年に米国と欧州のテロ組織リストから外れた。これはブッシュ政権の政治軍事問題担当国務次官補を務め、MEKに向けられたテロ組織との主張を徹底的に調査したリンカーン・ブルームフィールド氏にとっての勝利だ。

ブルームフィールド氏は、調査を行ったが、同組織が米国やその同盟国をテロの標的にした証拠は見つからなかった、とアラブニュースに語った。

「民間人、子供、無辜の人々を標的にした兆候が見られたなら、事態は異なっていただろう。だが、この組織の活動は専制に対する正当な抵抗だ」

ホワイトハウス元中東問題顧問のマーク・ギンズバーグ氏は長く米国の外交官を務めた人物だが、死者の出た7月31日のイスラエル企業の貨物タンカーへのドローン攻撃が、ライシ氏とイランの体制側に責任を負わせるべき「もう一つの理由だ」と、アラブニュースに語った。

「この体制そのものと、中東地域で継続的に抑圧を行い、暴力を煽り、テロを奨励するこの体制の能力とを弱体化するために、とれる措置すべてをとることを支持する。(イランの体制側が)イラン核合意への違反を止め、違反前の状態に戻ることに同意したとしても、核兵器開発を防止するという目的はけっして実現しないだろう」

この元大使は、イラン政府は核活動だけでなく、中東全域での不安定化を図る他の活動の停止も拒否し続けるし、制裁緩和の「生命線」を利用してそうした活動をさらに推し進めるだろうとも述べた。

ギンズバーグ氏は、「イラン政府は弾道ミサイル開発計画の制限に同意しないだろうし、ヒズボラ(レバノン)、ハマス(パレスチナ)、フーシ派(イエメン)といった反乱勢力や、シリアのアサド政権への支持も決してやめないだろう」

「イランが望んでいるのは制裁緩和だけだ。イランにとっての問題は、『制裁緩和と引き換えにあきらめるものをどれだけ少なく抑えられるか』だ、イランにとっては、制裁緩和が唯一の選択肢だ」

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