
東京:プライベート・エクイティ・ファンドやアドバイザーによると、日本におけるテイク・プライベート案件は、投資家へのリターン向上を求める圧力に企業が屈する中、2023年に積み上げた総額403億ドルを上回り、今年は過去最高を記録する可能性が高いという。
日本企業はかつて、プライベート・エクイティを「ハゲタカ」と呼んで恐れていた。しかし現在では、アクティビスト投資家や東京証券取引所から資本管理や株式持ち合いを見直すよう求められているため、バイアウトやかつては珍重された上場企業の地位の放棄にますます前向きになっている。
プライベート・エクイティ・プレーヤーによれば、日本でのビジネスチャンスに対する投資家の関心はかつてないほど高まっており、世界的な投資活動の鈍化に逆行するように、今年に入って取引が相次いでいるという。
Dealogicのデータによると、8月20日までの1年間で、プライベート・エクイティ案件の総額は276億ドルで、2024年の同時期の95億ドルのほぼ3倍に達した。
この1カ月に発表された主な案件には、Blackstoneによるエンジニアリング人材派遣会社TechnoProへの35億ドルのオファーや、EQTによるエレベーターメーカーFujitecへの27億ドルの入札などがある。
カーライル・ジャパンのマネージング・ディレクターである山田和弘氏は、「私たちは非常に豊富な案件のパイプラインを持っています」と述べました。
「カーライル・ジャパンが3つのコアセクターで見ている300件以上の案件のうち、約30件は今後12~18ヶ月以内に成約する可能性があります」と山田氏は語った。
東京証券取引所は、上場企業をより魅力的な投資先にすることを目的とした、より厳しいガバナンス基準を定めており、企業は上場廃止を含む選択肢の検討を余儀なくされている。
東京証券取引所の改革推進は、日本では異例なほど割安株が多いことに対応するもので、自社株買い、資産売却、経営陣による買収が相次いでいる。
プライベート・エクイティ対アクティビスト投資家
非公開化取引に先行する可能性があると見られるアクティビスト活動が活発化し、対象企業の株価への投機を促している。
バンク・オブ・アメリカの投資銀行部門共同責任者兼日本M&A部門責任者の真中明彦氏は、「特にアクティビストが参入した後は、投機筋が株価を押し上げ、誰もオファーを出せなくなる可能性がある」と指摘する。
フジテックの株価は、アクティビストのオアシスが最初にフジテックを狙ってからEQTが7月に入札するまでの3年間で2倍以上になった。
プライベート・エクイティ・ファームの提示額は市場価格より割安だった。
フジテックの買収に携わったEQTの福島耕平取締役は、「企業が民営化の必要性に迫られたときには、潜在的なパートナーを検討し始めるにはすでに遅すぎるかもしれません」と語った。
そのような事態を避けるため、経営陣が変革を求める投資家のターゲットになる前に、プライベート・エクイティ・ファームに相談する企業が増えている、と業界関係者は言う。
KKRのパートナーである谷田川英治氏は、「ある意味で、プライベート・エクイティは自然な戦略的選択肢になっている」と語る。
「経営陣の中には、アクティビストが株主になる前から積極的に行動を起こし、非公開化を検討しているところもある」と谷田川氏は言う。
ファンドによれば、現在、企業との話し合いの約半分は、企業自身によって開始されているという。
非公開化は、既存の経営陣が公開市場の目を逃れてリストラに取り組む機会を提供する。
「C-suiteレベルでは、PEファンドの一般的な慣行は、少なくとも既存の経営陣に一泡吹かせることです」と、モリソン・フォースター法律事務所(東京)のパートナーでM&A部門のグローバル共同責任者であるジェレミー・ホワイト氏は言う。
ファンドによれば、日本の強固な資本市場は後々の再上場をサポートし、M&Aを追求する企業や他のファンドも潜在的な出口機会を提供している。
EQTの日本におけるプライベート・エクイティ・チームのマネージング・ディレクターである浅岡輝之氏は、「スポンサーからスポンサーへのエグジットが増えることを期待しています」と述べた。
「この業界には多くの資本が投入されており、その結果、買い手候補としてのプライベート・エクイティ・ファームの位置づけが強まっている」と同氏は述べた。
ロイター