
ニューヨーク: 火曜日のS&P 500は、ウォール街の歴史上最も劇的な暴落の一つを引き起こしたコロナウイルス危機の発生前に見られた最後の水準に戻り、2月の過去最高値に迫った。
同指数は2月19日に付けたピークを約0.5%下回る水準で推移した。2月19日には、米国経済で大恐慌以来最悪となることが分かった不況を見越して投資家が株を投げ売りし始めた。
超低金利、何兆ドルもの景気刺激策、最近では第2四半期の決算発表シーズンが事前の予想を上回ったため、ウォール街の3つの主要株価指数はすべて回復した。
ハイテク関連銘柄が中心のNASDAQは、Amazon.com、Netflix、Appleなどの「巣ごもり需要の勝者」に後押しされて上昇している。NASDAQは約0.4%下落した。
ブルーチップダウは1.2%急上昇し、2月に付けたピークに5%のところまで迫った。
「米中の緊張やコロナウイルスのニュースがとりわけ楽観的な材料とならない中で、これは上昇を望んでいる市場であることを認めざるを得ません」とTS Lombardのストラテジスト、Andrea Cicione氏は述べた。
氏は続けて「我々は健康、経済、雇用の観点から緊急事態に直面しています。今後の見通しは楽観的には程遠いでしょう。ある程度の低金利が高評価の根拠となるにしても、評価と実際の見通しとの間には乖離があります」とした。
プーチン大統領は、ロシアが世界で初めてCOVID-19ワクチンの規制当局の承認を受けた国になったと主張した。しかしながら、ワクチンはさらに最終試験を完了しなければならないため、承認のスピードが一部の専門家を懸念させている。
投資家は、米国内のコロナウイルス感染者数が先週500万人を超え、ウイルス感染症との戦いが終わりとは程遠い中、共和党と民主党が意見の相違を解消し、約3000万人の失業中のアメリカ人を支援する別の救済プログラムに合意することを期待している。
また、今週末に行われる重要な貿易協議の前に、米中間の緊張が注目されている。
シカゴのKingsview Asset Managementの資金運用管理者、ポール・ノルテ氏は「確かにワシントンのレトリックは中国に関しては否定的なものでした。心配すべきことはたくさんありますが、市場は現時点では非常に緩和的な財政・金融政策に焦点を当てています」とした。
今年のベンチマーク指数の重しとなっていた金融、エネルギー、産業セクターが、火曜日のS&P 500に最大の押し上げをもたらした。
S&P 500は8営業日連続の上昇となり、2019年4月以来の最長の上昇となった。
S&P 500は15.39ポイント(0.46%)上昇してピークの3,393.52まで約18ポイントとなる3,375.86となった。ダウ平均株価は341.41ポイント(1.23%)上昇して28,132.85となった。ナスダック総合指数は48.37ポイント(0.44%)下落して10,919.99となった。
Royal Caribbean Groupは、数ヶ月に及ぶ欠航の後、出航を再開するための新たな安全対策を示唆した後、4.6%上昇した。同業のノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングスとカーニバル・コーポレーションも上昇した。
米国のショッピングモール保有会社であるサイモン・プロパティ・グループは、第2四半期の利益が残念な結果となったにもかかわらず、同社のCEOが一部の地域でのロックダウンが緩和されたことで小売業の回復に期待を示したため、4.1%上昇した。
ニューヨーク証券取引所では3.44対1、NASDAQでは1.44対1で、上昇銘柄が下落銘柄を上回った。
S&P指数は52週最高値を35回更新し、最安値は更新されなかったが、ナスダックは最高値を50回更新し、最安値を4回更新した。
ロイター通信