
アナリスト予想では、日本経済は以前の予想よりも縮小し、今会計年度中は軽度のデフレとなる見込みである。この展望には、破壊的な新型コロナ禍の影響からの回復の不安定性が浮き彫りになっている。
また、輸出に強く依存している世界第3位の日本経済には米中間の新たな緊張の高まりが追加の懸念材料となると多くのアナリストが見ていることを、金曜日、ロイターの調査が示した。
ウイルスの拡散防止に必要な「ソーシャル・ディスタンシング措置による経済活動の制約は今後も継続します」とニッセイ基礎研究所の斎藤太郎上席研究員は述べている。
「日本の経済は来会計年度に立ち直る可能性が高いものの、今年被った莫大な損失を取り戻すことはできないでしょう」と、彼は言った。
32人の経済学者に対し調査を行ったところ、来年3月までの今会計年度内に日本経済は5.6%縮小するとの予測で、これは先月の予測値の5.3%よりも悪化している。最悪の想定では8.0%縮小すると考えられている。
この下方修正が生じたのは、4-6月期の国内総生産(GDP)の縮小は24%程度と7月に見込んでいた多くのアナリストが見解を訂正し先月の最悪の想定値の27%を採るようになったためである。
日本政府は4-6月期のGDPデータを月曜日に公表する予定である。
8月4日から13日に行われた調査では、日本経済の成長は2021年4月からの1年間では3.3%にとどまる見込みで、これは7月に実施された前回の調査から変化していない。
変動の激しい生鮮食品を除外する一方エネルギー関連コストは含めたコア消費者物価は、同調査によれば、今会計年度中に0.3%減少し、来年は0.2%の回復にとどまる見込みである。
デフレに陥り、インフレ目標の2%が達成困難となりつつある中、日本銀行の次の一手は景気刺激策の拡大となるはずだと調査対象の大多数が述べている。
「コロナウイルスとの闘いは長引きます。効果的なワクチンが利用可能となるまで、政府や中央銀行は新型コロナ禍対策を切り上げることは出来ません」と、大和証券 の岩下真理チーフマーケットエコノミストは言った。
米中間の緊張に直面する日本
米中関係の最近の急激な悪化によって日本経済の展望はさらに複雑なものになっている。世界の2大経済圏が、貿易や技術、新型コロナ禍といった争点において意見の一致に程遠い状態なのである。
米中2国間の対立が日本経済にどのような影響を及ぼすかという問いに対して、調査対象となった経済専門家の90%がマイナスの影響となると回答した。
また、回答者の80%以上が、ワシントンと北京がそれぞれ独自の経済圏を構築した場合、日本企業は悪影響を被ると述べ、それはグローバル化の後退を示すことになると考えている。
「米中2ヶ国が主導する経済圏は、すなわち脱グローバル化は、世界的に生産性の成長を阻害するでしょう。日本の潜在的な成長や日本企業の生産性の成長に対しても悪影響を及ぼすことになることでしょう」と、JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミストは述べている。
ロイター