
フランク・ケイン
ドバイ:湾岸地域では、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響による経済ショックからの回復は厳しいとみられているものの、地域の経済が全体的に弾力的であることから、主要国家の痛みは和らげられると予想されている。
上記は S&P グローバルのシニアアナリストが、月曜にドバイで実施したウェビナーで発したメッセージだ。
国債格付け部門のトレバー・カリナン部長は、低調な経済から各国が「自発的に」回復する見込みはなく、今後の回復は原油市場ならびにグローバル経済や世界貿易に大きく依存する見通しだと述べた。
カリナン部長はまた、「原油価格に構造的な変化が生じたことが政府の歳入に影響を及ぼし、財政赤字が拡大し、財政収支は悪化している」とした。
ここ数年で原油価格が史上最高水準から下落したことを受け、政府の格付けのほとんどが引き下げられたが、湾岸諸国の格付けの中でこれまで投資不可のグレードに指定されたのはバーレーンとオマーンのみである。
カリナン部長は、原油価格の予測として、今後 2 年は 1 バレルあたり 50 米ドルが続き、2023 年に 55 米ドルまで何とか届くだろうとし、新型コロナウイルスによる経済ショックからの「財政収支とGDP成長の改善はやや弱い」とする見通しを示した。
しかし、S&P 金融機関部門のベン・ヤング部長によると、この見通しは同地域に比較的強固な立場を維持している銀行システムがあることから確実とは言い難く、同地域ではサウジアラビアの銀行を中心に、2020 年前半は「十分な」成長を遂げており、後半も引き続き成長が期待されている。
ヤング部長は、銀行システムには下方圧力がかかっているものの、国家の資本基盤に深刻なダメージが及ぶ前の段階で、360 億米ドルをさらに吸収する余力がある、と述べた。