
三井住友銀行や政府系の日本政策投資銀行など5行がANAホールディングスに対し、計4000億円の融資を行う方針を固めたことが14日、分かった。自己資本とみなすことができる「劣後ローン」を使う。月内にも契約する。新型コロナウイルスの感染拡大で業績が悪化する中、ANAの財務基盤を強化するのが狙い。
融資額は三井住友銀と政投銀が各1300億円、みずほ銀行が600億円、三菱UFJ銀行が500億円、三井住友信託銀行は300億円で調整している。
ANAは乗客の急減により、2020年4~6月期連結純損益が四半期として過去最大の1088億円の赤字となった。生き残りに向け、一般社員の平均年収を3割減らす案を労働組合に提示するなどコスト削減を急いでいる。融資枠を含め約1兆円の資金を確保しており、当面の資金繰りに問題はない。ただ、コロナ影響の長期化に備え、2000億円規模の公募増資を検討。加えて、主要取引行に劣後ローンを要請していた。
劣後ローンは通常の融資より返済順位が低く資本に近い性質を持つため、借り入れた企業は一部を自己資本に算入できる。財務の改善を通じ、借り入れ余力を確保できるのが特徴だ。
政府は20年度第2次補正予算で、政府系金融機関による劣後ローン供給といった企業支援策を拡充した。観光や飲食など多くの業種で需要回復は遅れており、劣後ローンの活用は今後も続きそうだ。
JIJI Press