• IMFは、世界経済は今年4％縮小すると予測
• IMFは、レバノン経済が今年25％縮小し、他数ヵ国と共に、この地域で最も急激な経済収縮に見舞われると予測

ドバイ： 国際通貨基金が月曜日に発表したレポートによれば、コロナウイルスのパンデミックにより、今年はほぼすべての中東諸国が景気後退の危機に瀕しているが、レバノンとオマーンの2ヵ国を除き、来年はある程度の経済成長が見込まれる。

この中東各国の予測は、そもそもIMFが今年、世界経済が4.4％縮小し、1930年代の大恐慌以来最悪の年間での落ち込み記録するしていることが根底にある。

コロナウイルスが世界中に蔓延するかなり前から、中東諸国の中には、石油価格の低下による経済成長の鈍化から、汚職や高い失業率に至るまでの問題に苦しんでいた経緯がある。

こうした国の1つ、レバノンの経済に関し、IMFは、今年中東地域最大の25％の急激な経済収縮に見舞われると予測している。コロナウイルスが流行し出す前から、既に激しい反政府活動が起こっていた同国では、パンデミックは、国をさらに危機の深み追い込んだ。

レバノンのデモ参加者たちが抗議していたのは、政府の腐敗、外貨不足、ハイパーインフレーション、絶え間ない停電、そして貧困の増加に対してであった。レバノンの通貨は昨年末に比べて70％下落し、輸入品に依存する同国の人々は生活必需品の購入にも苦労した。8月のベイルートの主要港での壊滅的な爆発では、少なくとも180人が死亡し、6,000人以上が負傷し、近隣全体が破壊された。その爆発により、何十万人もの人々が家を失ってもいる。

中東諸国では、ヨーロッパの国々や米国よりもウイルスによる確認された症例や死亡が少ない一方で、この地域でも依然として新型コロナウイルス感染症の封じ込めには多くの課題に直面している。

「特に、経済活動を再開した世界中の多くの国で、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の感染者数が最近再び急増していることを考え合わせると、今後予測よりも悪いシナリオに陥るリスクが大きく迫っている」とIMFは警告する。

たとえば、イランは先週、ウイルスによる1日あたりの死亡者数がこれまでで最も高い数値を記録した。イラン経済は昨年6.5％縮小したばかりだが、今年はさらに5％縮小すると予測されている。しかし、IMFは、現在辛酸を舐める状況のなかでも、今後政府によってウイルスが適切に管理されるようになる、その能力を持つとの評価に基づき、来年はイランの経済が3.2％成長に回復すると予想している。

「イランは新型コロナウイルス感染症（COVID-19）流行の震源地となった最初の国のひとつであり、現在、パンデミックの第3波に見舞われている。こうした状況が、（米国の）制裁措置のために業況が低迷する経済の上に折り重なっている」と 、IMFの中東および中央アジア局の局長、ジハード・アズールがAP通信に語った。

「一方、比較的裕福な中東の石油輸出国も、2020年の経済は6.6％の縮小が予想されている」とIMFは述べる。しかし、湾岸アラブ諸国は来年の平均経済成長率が2.3％になると予想されている。IMFは、こうした予測の前提として、石油価格が2020年は1バレルあたり平均41.69ドルから、2021年には1バレルあたり46.70ドルまで上昇すると予測していると述べている。

IMFはまた、サウジアラビアの経済収縮に関する悲観的な見積もりを6.8％から5.4％に修正している。世界最大の石油生産国の1つであり、上位20に入る経済大国であるサウジアラビアは、今年、付加価値税を3倍の15％に引き上げ、また関税も引き上げることで、歳入増を図る大胆な政策を打ち出している。

一方、ドバイやアブダビを抱えるアラブ首長国連邦（UAE）と言った他の中東の石油輸出国は、今年は6％以上の経済縮小が見込まれている。そうした中でも、オマーンは特に影響が大きく、その経済は10％縮小が予測され、更に、 IMFによると、イラクは12％の景気後退に直面している。

世界銀行は、パンデミックにより、8,800万人から1億1,400万人が極度の貧困に陥ったと推定している。これは、1日1.90ドル未満で生活している人々と定義される。

AP