
1日に発生したシステム障害について記者会見する東京証券取引所の役員(左)ら=19日午後、東京都中央区
1日に発生したシステム障害について記者会見する東京証券取引所の役員(左)ら=19日午後、東京都中央区
東京証券取引所は19日、システム障害による株式売買の終日停止について、詳しい原因と再発防止策を公表した。来年3月末をめどに取引再開に関する証券会社とのルールを整備し、迅速に売買を再開できるようにする。障害は2015年からシステムを納入した富士通のマニュアルに不備があり、システム設定が誤っていたのが原因だった。
東証の川井洋毅執行役員は19日の記者会見で「障害が起きた場合の取引再開のためのルールや、証券会社の手順が未整備だった」と反省点を述べた。国内外の証券会社など幅広い市場参加者と「再発防止策検討協議会」を設置し、早ければ週内に議論を始める。
1日に発生したシステム障害について記者会見する東京証券取引所の横山隆介常務執行役員(中央奥)ら=19日午後、東京都中央区
1日に発生したシステム障害について記者会見する東京証券取引所の横山隆介常務執行役員(中央奥)ら=19日午後、東京都中央区
東証では今月1日、売買システム「アローヘッド」の機器が故障し、バックアップ機への自動切り替えもできなかった。東証が富士通と調べた結果、自動切り替えができなかったのは、15年9月にシステムを更新した時点からマニュアルに不備があり、システム設定が誤っていたためだと判明。今回のシステム障害を受け、今月5日から設定を変更した。
東証の横山隆介常務は「市場開設者としての責任は東証にある」と語り、富士通に損害賠償を請求しない方針を改めて示した。
システムを再起動すれば取引を開始できたが、証券会社から事前に受け付けた注文データが取り消されて混乱が生じるとして、東証は終日の売買停止を決めた。
東証と親会社の日本取引所グループ(JPX)は16日、金融庁に対して原因究明と再発防止に関する報告書を提出した。同庁は内容を吟味した上で、業務改善命令を含め行政処分を検討。東証はJPXの独立社外取締役による調査委員会の検証も踏まえ、経営責任を明確化する。
JIJI Press