

イスタンブール:トルコリラが年初から30%下落して記録的安値になったのを受け、タイイップ・エルドアン大統領は土曜日、中央銀行総裁を解任してナチ・アグバル元財務大臣を後任に据えた。
ムラト・ウイサル総裁更迭の決定は大統領令によるものであり、トルコの官報で発表された。更迭の理由は今のところ明らかにされていない。
現在ドルは、米大統領選の票の集計が終了していないことを受けて安値であるにも関わらず、リラは金曜日、1ドル8.58リラの最安値を記録した後、8.5445リラで取引を終えた。
エルドアン大統領は2019年7月に、景気押し上げのための利下げをしないことに苛立ち、前任者のムラト・チェティンカヤ氏を解任して当時副総裁であったウイサル氏を総裁に任命した。
利上げには反対の立場だと主張するエルドアン大統領は、繰り返し借り入れコストを下げるよう呼び掛けてきた。先週彼は、トルコは現在「金利、為替、インフレという悪魔のトライアングル」の圧迫に対する経済戦争を繰り広げていると述べた。
ナチ・アグバル氏は、2015年から、大統領室戦略予算局長に指名される2018年までの間、財務大臣を務めていた。
10月22日に開催された金融政策委員会で中央銀行は、大幅な利上げの期待に反して政策金利を10.25%に据え置き、リラの急落を招いた。
1カ月前の利上げでも市場を驚かせた中央銀行は、マネーサプライを引き締めるための流動性措置を継続していくと述べた。同行は、レイト・リクィディティ・ウィンドウの金利を13.25%からコリドー上限の14.75%まで引き上げた。
しかしこれらの措置にも関わらずリラは下がり続けており、今年の対米ドル価格30%の下落は、新興国市場最悪の業績となっている。
リラに対する弱気は、西側諸国による対トルコ制裁の可能性、外貨準備金の枯渇、高いインフレ率、金融政策への政治的干渉などに対する懸念から来ている。
専門家たちは、民主党候補のジョー・バイデン氏が米大統領になれば米国とトルコの関係は悪化する可能性があると懸念している。
トルコの『ミリエット』紙の木曜日の記事によれば、ベラト・アルバイラク財務相は、利上げは景気を悪化させる恐れがあるとの政府の懸念を繰り返し、リラを支えるための介入はしないと述べたという。
ロイター