
黒田東彦日銀総裁は5日、名古屋市で記者会見し、世界経済の回復時期について「来年前半から半ばごろになる」と述べ、米中貿易摩擦などを背景に従来の見通しより半年程度遅れるとの見方を示した。
黒田氏は、日銀が超低金利政策を続ける中、「財政がさらに積極化すれば、金融政策との協調により、効果をより大きく発揮する」と指摘した。政府は台風被害などに対応するため経済対策を取りまとめる方針。市場には、同じタイミングで日銀が追加金融緩和に踏み切るとの観測もあるが、黒田氏は「一緒にやる考えは特にない」と語った。
金融政策に関しては、前月の金融政策決定会合で、政策金利の指針であるフォワードガイダンスを新たに打ち出し、より緩和的な姿勢を明確にしたと強調。「依然として相当大幅な緩和を続ける必要がある」と述べた。