
経団連の中西宏明会長は年頭インタビューに応じ、2021年の経済界の課題として「デジタルトランスフォーメーション(DX)をどこまで本物にできるかが日本の経済成長、競争力強化で一番大事だ」と述べた。その上で、デジタル化の推進で「新しい価値を創造する企業活動をできるようになるか(が重要)」との認識を示した。
中西氏は21年は「国を挙げて経済を総動員し、新型コロナウイルス禍を克服する年だ」と指摘。経済界としても「新たな成長路線を加速する年にしたい」と述べ、株主だけでなく社会的課題の解決を重視した持続可能な経済社会の構築に全力を尽くす方針を明らかにした。
50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする政府の目標に関しては「時間はかかるが、経済界全体が中長期的な視野で検討すべき話だ」と述べ、エネルギー分野の技術革新に向けた民間の取り組みを加速する考えを示した。
東京電力福島第1原発の事故後、再稼働が進まない原発については「議論を止めてしまっては日本は世界からはるかに遅れる」と懸念。原発とどう向き合うかなど「議論をしっかりやり直すべきだ」と強調した。
中西氏はリンパ腫の再発で昨年7月から入院治療中のため、オンラインでインタビューに応じた。退院の見通しについては「再発ということで簡単ではない」と説明している。その上で「会長職を全うしたいと強く思っている」と話し、オンラインなどを活用して職務を継続する意向を表明した。
JIJI Press