• ベンチャーキャピタリストのマシュー・サロウェイ氏は、サウジアラビアは「次のシリコンバレーになる」と考えている。

アセール・バシュラヒール

ジッダ：マシュー・サロウェイ氏は、さまざまな選択肢を持っている。法学部を卒業した彼は、マンハッタンに自身の事務所を設立し、王族やプロスポーツ選手、投資家、有名人、富裕層やメディア企業の代理人を務めてきた。

映画プロデューサーとしても活躍する彼は、オプラ・ウィンフリー、ジョージ・クルーニー、ライアン・ゴズリング、マイケル・キートン、ロバート・デ・ニーロなどが出演する作品を手掛けた。

しかし、彼の真の情熱は今、テクノロジーやベンチャーキャピタル、また中東や北アフリカ市場で立ち上げられる革新的な米国のスタートアップを見つけることにあり、サウジアラビアを中心に活躍している。

「私たちは、テクノロジーエコシステムの面でサウジアラビアに非常に高く評価しています。私たちのテクノロジー企業から多くを地域にもたらせるよう、強い意欲を感じています」と、GSIベンチャーズのCEOであり、SIPグローバルパートナーズの共同創業者でもある彼はアラブニュースに語り、サウジアラビアの「信じられないほど明るい」見通しが同地を「地域の次のシリコンバレー」にすると確信していることを付け加えた。

「当社はサウジアラビア投資省がベンチャーイニシアティブを通じて実際にライセンスを取得している15社のうちの1社です。私たちは、このエコシステムの中で、当社のテクノロジーをいかに成長させるかについて非常に感心を抱いています」

GSIは、成長（Growth）、持続可能性（Sustainability）、誠実さ（Integrity）を表している。同社はベンチャーやテクノロジーへの投資に強いプロフィールを持ち、MENA地域に重点を置く企業だ。

サロウェイ氏は、スタートアップ企業を支援する上でサウジアラビアに匹敵する国は「この地域には存在しない」と述べている。

「数字を見ると、テクノロジーがベンチャーキャピタルにどれだけ注力しているかがわかります……サウジアラビアを拠点とするスタートアップ企業には、2020年上半期に9,500万ドルが投資されました。これは史上最高額で、2015年は700万ドルでした」

政府が公共投資基金のような機関を通じてスタートアップ企業やベンチャーキャピタルに数十億ドルを投入し、市場の健全なエコシステムを確立・構築していることから、サロウェイ氏は自信を持っており、企業がサウジ市場にアクセスするのが「容易になる」と述べている。

「起業家、創業者、投資家がこの場で成長しているように、私たちはエコシステムの発展の一端を担いたいと考えています。サウジアラビアにとっては新しいことなので、時間がかかるのは明らかです。ですが、ここ数年の進捗度から見ると、政府と私たちが見ている数字の両方が、信じられないほど強力な技術のエコシステムとハブのためのステージを設定していると思います」と彼は言った。

サロウェイ氏は、サウジアラビアがグローバル市場で勝負できる理由として、40歳以下が70％を占める人口の若さ、スマートフォンの高い普及率、洗練された技術的なユーザーベースがあると付け加えている。

だが彼は、このプロセスは一朝一夕に完了するものではないと警告している。イノベーションを起こそうとする文化を醸成し、人々にトレーニングを通じて適切なスキルを身につけさせ、企業の立ち上げ方と経営方法、また営業やマーケティングプランを構築する方法を教えることで、サウジアラビアはこのエコシステムの構築をさらに推し進め、Careemのようなユニコーン企業をより多く導入することができるのだ。

ユニコーンとは、10億ドル以上の評価を受けた非上場のスタートアップ企業を表す業界用語だ。

「厳密には、500万社のうちユニコーンになれるのは3社だけ。つまり、数字的には驚くほど厳しいです。競争力をつけるためには、多くの企業を立ち上げなければならず、失敗することもあるでしょう」とサロウェイ氏は述べている。

サウジで大規模なスタートアップユニコーンを生み出す可能性のある分野の1つは、ゲーム分野だ。「ゲーム関連のテクノロジーの採用率が高いことを考えると、サウジでローカルな企業を立ち上げるには、ゲーム分野に大きなチャンスがあります」

統計的には、世界のゲーマーの14%が中東出身で、その数は3億人にも及ぶ。「50億ドルのビジネスですが、唯一の問題は、この地域でプレイされているゲームの多くが海外の開発者によるものであるということです」と彼は付け加えた。

新型コロナウイルスのパンデミックは、テクノロジー投資の重要性を強めているとサロウェイ氏は述べている。

GSI ベンチャーズを通じて、サロウェイ氏は5Gテクノロジーをサウジアラビアにもたらすことを楽しみにしているが、これは技術的な実装にとどまらず、ヘルスケア、デジタルヘルス、人工知能、スマートシティにもたらす利益の面でも14兆ドル規模の世界的な機会になると説明している。

「サウジアラビアは特に、国のために、ユーザーのために、そしてサウジアラビア国民のために、世界のどの国よりも、一人当たりの5Gに多くの支出をしています」と彼は言う。