フランク・ケイン
ドバイ:サウジアラビアが先月発表した突然の減産が市場に楽観的観測をもたらし、世界の原油価格は2日、直近12か月の最高値となった。
世界的な指標であるブレント原油は1バレル58ドルに近づいた。これは2020年はじめ、パンデミックによるロックダウンで世界需要が急落する以前のレベルである。夏までに65ドルに達し、世界の石油市場が味わった1年間の苦労が実質帳消しになると予測するアナリストもいる。
サウジアラビアとロシアが主導するOPECプラスのエネルギー相が月に一度市況について話し合う定例会合の準備を進める中で、今回の価格高騰が起こった。ウィーンのOPEC本部が主催するオンライン会合において、現在の市場戦略が変わることはないと見られる。戦略は、サウジアラビアが先月突然発表し、2月から実施されている100バレルの減産を受けて設定されたもの。
「サウジの減産は慎重な楽観論をもたらしており、市場には引続き安心感があるというメッセージだ」とあるエネルギー相は語った。
最近の原油価格高騰の影にサウジショックがあるのは間違いなく、ウイルスの第2波(中国の需要について懸念が再燃している)や変異種の拡散の影響を凌駕していると専門家は見ている。
オックスフォードエネルギー研究所のバッサム・ファトゥーフ所長はこう語る。「減産の発表以降、世界の多くの地域でロックダウンが実施されているにもかかわらず原油価格は反発しています」
ワクチンによる需要回復が供給抑制と重なり、また昨年の底値による余剰資金もあるため、年内に原油価格が急上昇するとの予測もある。
米投資銀行のゴールドマン・サックスは以下のようにコメントしている。「今回の需要逼迫により原油は不確実な金融市場を乗り切るだろう。私たちは7月までにブレント原油が1バレル65ドルに達すると予想している」