
東京工業大とNTTの研究チームは20日までに、高速大容量規格「5G」に続く次世代無線通信システムで使われる周波数帯(テラヘルツ帯)用の、小型無線通信装置を開発したと発表した。安価で量産が可能なCMOSと呼ばれる半導体集積回路で構成されており、実用化に向けた足掛かりになると期待される。
5Gの10倍以上の通信速度が見込まれる次世代通信システムでは、5Gのミリ波より高い周波数のテラヘルツ波を使う。周波数が高いほど一つのアンテナで通信可能な距離が短くなるため、実用化には多数のアンテナと送受信用回路を高密度に配置した「フェーズドアレイ」を構成し、通信可能距離を伸ばす必要があった。
東工大の岡田健一教授らは、従来別々だった送信用と受信用を双方向で切り替え可能にすることなどで、回路を縦1.7ミリ、横2.45ミリまで小型化。アンテナと組み合わせた基板を4層積層させたフェーズドアレイを構成した。試作品を使った実験では、5Gの約5倍の速度で通信できることを確認した。
JIJI Press