


Frank Kane
ドバイ:サウジアラビアの主要な投資機関である公共投資基金では、最近の取引の結果、急成長しているカリフォルニア州の電気自動車メーカーであるLucid Motorsへの投資の価値が数十億ドル増加した。
PIFは2018年にLucidに10億ドルを投入し、高級電気自動車の設計の初期段階にあったカリフォルニア州に本拠を置く同社の過半数の株式を取得した。 最初のモデルであるAirは今年発表され、初めての納入が計画されているが、これによりこの株式の価値はさらに高まった。
米国で最近発表された複雑な金融取引において、Lucidは特別目的の買収会社(SPAC)と合併する。SPACは、新規株式公開(IPO)のためと、株式市場での評価を受けるために特別に設置された会社である。
Lucidと関わるSPACは、Churchill Capital Corp IVである。Churchill Capitalはインベストメント・バンカーのMichael Klein氏の創設であり、彼は2019年にサウジ・アラムコが過去最高のIPOを果たした際などに関わり、サウジでの投資顧問として有名である。
SPACとの契約により、Lucidは240億ドルという正式な評価を受け、PIFは依然としてこの新設会社の過半数の投資元である。
PIFは投資の価値の詳細な内訳は明らかにしなかったが、SPACの取引で発表された文書によれば約150億ドルとなっており、車両の販売が開始されれば、さらに価値が上がる可能性もある。
Churchillの株価は、Lucidとの契約が正式に発表される前の数日間は大きく変動したが、PIFなどの大手投資家が同社の株主になった際の金額をはるかに上回って落ち着いた。
フィナンシャル・タイムズ紙の有力なLex欄は、「最大の勝者は、Lucidの現在の最大株主であるサウジアラビアのPIFである」と述べた。
以前ライバルの電動自動車メーカーのテスラで働いていたLucidのPeter Rawlinson最高経営責任者(CEO)は、ジャーナリストに次のように語った:「この評価は、われわれの技術を反映したものだと思います。」
電気自動車は過去1年間、投資家注目のテーマのひとつであり、市場リーダーのテスラの株式は、従来の自動車メーカー各社の株式合計を上回る時価総額6,700億ドルに急騰し、創業者のイーロン・マスクを世界で有数の大富豪に押し上げた。
Rawlinsonはテスラの規模や評判にとらわれていない。 昨年、Air の発売に至る前に、彼はアラブニュースに次のように語った。「弊社は世界で最高の車を作りました。しかし、弊社には一般の人たちのためにより手ごろな価格のモデルを作ることができる技術があるということに、私はもっと興奮しています。これこそが世界を変えるのです」と語った。
PIFにとってLucidへの投資は、外資系企業への戦略的出資というアプローチの価値を示すものである。 昨年は、米国株と欧州株をパンデミックで価値が下落した際に100億ドルで購入し、その後市場が回復したときに売却した。
また、PIFとLucidの関係から、サウジアラビアで産業上の利益が得られる可能性もある。 Rawlinsonがサウジアラビアを生産施設の最初の拠点として選ぶのではないかとの観測が高まっており、ジッダ近郊に工場を置く可能性も指摘されている。
RawlinsonはPIFについて次のように述べている。「PIFは私たちを信じました。だからこそ、私たちは今日繁栄しているのです。」
Churchillとの契約は、アリゾナ州の新工場でAirの本格的な生産を開始し、電気式SUVの開発計画を進めるために必要な資本をLucidに提供する。