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パンデミックが影響する中、過去8年で最低の賃上げを提案する日本企業達

日本の労働組合は来年度の賃上げ要求を、前年度の要求よりも減らしている。(資料写真/ロイター通信)
日本の労働組合は来年度の賃上げ要求を、前年度の要求よりも減らしている。(資料写真/ロイター通信)
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17 Mar 2021 09:03:44 GMT9
17 Mar 2021 09:03:44 GMT9

安倍晋三元首相の刺激策によってもたらされた恩恵に、COVID-19の流行が終止符を打ちつつある兆しとして、水曜日に労使交渉が纏まる中で日本企業はこの8年でも最低額の賃上げを示している。

大手企業は過去7年間、20年間の厳しいデフレ解消に向けた政府の取り組みに賛成し、毎年のいわゆる「春闘」、春季闘争では2%以上の昇給を提案してきた。「アベノミクス」と呼ばれる安倍氏の政策では経済の再膨張を促す為、その他改革の中でも賃金がターゲットとなっていた。

人口の急速な高齢化に伴う国の慢性的な労働力不足がまた、人材を引き寄せるより高い給料の提供に企業達を駆り立てた。

だが特にレストランや交通機関、ホテル、レジャーや観光と言ったサービス業にコロナウイルスの流行が打撃を与え、毎年の賃金のベースアップよりも雇用確保の優先を余儀なくされた、とアナリストは語る。

「利益が低迷する中、多くの企業は雇用を維持する為に政府の補助金に頼っています。もし状況が長引けば、ますます企業が従業員達を解雇するかもしれません、」と第一生命経済研究所の主席エコノミスト、新家義貴氏が語った。

「近年では労働力不足に直面する企業に対して、労働組合のほうが明らかに有利な立場にありました。パンデミックがそれを全て変えてしまい、雇用主と労働組合は賃金の引き上げよりも雇用保障を優先することを余儀なくされました」

毎年の賃金交渉は持続可能な経済成長を起こし、中央銀行の目標インフレ率2%を達成するのに必要な、企業体力と家庭の購買力のバロメーターの役割を果たしている。

年功序列昇給に加えて、正社員にとって賃金上昇の強さ、もしくは上昇の無さを決める重要な要因となる基本給の引き上げを、多くの企業と労働組合は下げたか控えた。

かつては賃金交渉で先導的存在であったトヨタ自動車は、前年度の8,600円から月額9,200円(84.36ドル)の給料引き上げを申し出たが、基本給が上がったかどうかは明らかにしなかった。日産自動車は昨年と変わらず、7,000円相当の賃上げを行った。

国内メディアによると、富士通などの大手電気機械メーカーは、基本給の値上げを前年の月1,000円からほぼ変わらぬよう維持する内容で労働組合と合意した。

それとは対照的に、航空会社などのパンデミックで打撃を受けた業界の労働組合は、基本給引き上げの要求を見送った。

これで業界間の春闘の結果に、パンデミックで影響を受けた業界と受けなかった業界で差が出る結果となった。

SMBC日興証券のシニアエコノミストである宮前耕也氏は、組合のより高い賃金要求への対応について「企業収益が悪化し、見通しが不透明なままであるため、経営陣は慎重になる可能性が高い」と述べた。

一部の企業は全面的な賃金の引き上げから、報酬に対してより多様なアプローチを取る方へとシフトしている。若い人材誘致の為、より多くの企業が年功序列に基づく給料ではなく、功績に基づく給料制度を採用しはじめている。

この動きは日本の労働市場の構造変化と合致する。労働者の約40%はパートタイム労働者と契約労働者で構成されており、1990年の2倍の割合である。そしてその多くが労働組合に加入していない。($1 = 109.0600円 )

ロイター通信

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