
シンガポール:スエズ運河が遮断されている影響により、今週は石油製品タンカーの運賃が2倍近くに上昇している。また、巨大なコンテナ船が両岸に挟まれたままであるため、数隻の船舶がこの極めて重要な水路を迂回した。
全長400メートルのエヴァーギヴン号は火曜日からスエズ運河で座礁しており、同船を離礁させるための努力が続けられているが、悪天候の中でこの作業には数週間かかる可能性がある。
ヨーロッパとアジアを結ぶこの狭い運河の通行ができなくなったことは、すでに混乱や消費者への小売商品の供給の遅れに直面していた船会社にとって問題を深刻化させている。
アナリストは、スエズ運河の遮断が数週間続けば、小型タンカーや石油製品へのさらに大きな影響が出ると予想。特にヨーロッパからアジアへのナフサや燃料油の輸出への影響が大きいと指摘している。
リフィニティブの海運データによると、火曜日以降、30隻以上の石油タンカーが運河の両側で通過を待っている。
「地中海におけるアフラマックス級とスエズマックス級の運賃も、この地域で利用できる船舶が少ないことを市場が運賃に反映させ始める中で、最初に反応を見せた」と海運ブローカーのブレーマーACMは述べている。
ブレーマーACMによると、大西洋海盆からスエズ運河に向かっていた可能性がある少なくとも4隻のLR2型タンカーが現在、喜望峰経由の航路を検討していると見られている。LR2型タンカーは1隻あたり約7万5千トンの原油を積載することができる。
ブレーマーACMはまた、大西洋海盆の原油に対するヨーロッパでの需要の高まりにより、こうした小型タンカーの利用が増加し、運賃を下支えするとしている。
リフィニティブによると、黒海に面したロシアのトゥアプセ港からフランス南部へガソリンや軽油などの「クリーン・プロダクト」を輸送するコストは、3月22日の1バレル1.49ドルから3月25日には2.58ドルと73%も上昇した。
ファーンレイズ・シンガポールでクリーン・タンカーのブローカーを務めるAnoop Jayaraj氏によると、TC1として知られる中東から日本に航行するLR2型船舶の運賃指数は、先週の100ワールドスケールポイントに対し、金曜日未明には137.5ワールドスケールポイントに上昇した。
同様に、TC5と呼ばれる同航路のLR1型船舶の運賃指数は、先週末の125ワールドスケールポイントから金曜日には130ワールドスケールポイントに上昇した。ワールドスケールは運賃を算出するために海運業界で用いられている。
アナリストによると、今回の輸送遅延がエネルギー市場に与える影響は原油や液化天然ガス(LNG)の需要が少ない時期なため、緩和される可能性が高いという。
データ・インテリジェンス企業のKpler社は、「この流通の季節性により、より長い距離で安価な喜望峰ルートが好まれる中で、貨物を東へ輸送するLNG荷主に圧力がかかることはないだろう」と述べている。
シンガポールを拠点とするある海運ブローカーは、数隻のLNGタンカーが迂回していると述べ、今回の事故を受けて、LNGタンカーの運賃に対する市場心理はよりポジティブになっていると付け加えた。
この海運ブローカーはまた、カタールからのLNG供給が遅れることを予想しているヨーロッパのバイヤーの中には、スポット市場での購入など他の選択肢を検討している人もいるだろうと付け加えた。しかしアナリストは、LNGの需要が少ない時期であることから、その影響は最小限にとどまる可能性があると分析している。
Rystad Energy社のガス・電力市場担当責任者を務めるカルロス・トレス・ディアス氏は、木曜日に発表した文書の中で、運河の遮断が2週間続いた場合、ヨーロッパ向けのLNG約100万トンの到着に遅延が生じる可能性があると述べている。
さらに同氏は、スエズ運河の遮断が4週間続くという最悪のシナリオでは、2倍の200万トン以上の貨物配送に遅延が生じる可能性があると付け加えた。
ロイター通信