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日本製造業の景況感、世界的な景気減速で悪化 サービス業回復が打撃を緩和

日本の第1四半期における製造業の景況感は悪化し、2年以上ぶりの最悪水準となった。(AFP)
日本の第1四半期における製造業の景況感は悪化し、2年以上ぶりの最悪水準となった。(AFP)
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03 Apr 2023 07:04:09 GMT9
03 Apr 2023 07:04:09 GMT9

日銀の中央銀行が行った調査によると、第1四半期の日本の製造業の景況感は、サービス業の好転を差し置いて、2年以上にわたって最悪の水準まで悪化しており、コロナ禍以後の力強い景気回復にはまだ時間がかかるとの見方を強めた。

日銀短観と呼ばれるこの調査によると、企業の物価見通しは過去最高を記録し、5年先も日銀の物価目標(2%)を上回ると予測している企業が多い。

この結果から、植田和男・次期日銀総裁には、前任者の大規模な景気刺激策の出口戦略の開始タイミングを決定するという、厄介な仕事を待ち受けていることを浮き彫りにしている。

堅調な賃金上昇と新型コロナ対策の終了により経済は堅調な足取りを保つかもしれないが、世界経済の成長鈍化は輸出に依存した回復路線を狂わせる可能性があるとアナリストらは指摘する。

農林中金総合研究所のチーフエコノミスト・南武志氏は、米国と欧州による金融引き締めの影響を受けて世界経済が減速する中、「今後何か月間は、外的要因が企業の景況感に重くのしかかるだろう」と述べている。

「日本の景気回復が性格上脆弱であることを考えると、日銀はすぐに金融政策を正常化できる状況にはない」と同氏は述べた。

主要項目である大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、12月のプラス7から3月にはプラス1に低下し、市場予想の中央値であるプラス3よりも悪化していることが、短観で明らかになった。これは5四半期連続の悪化であり、2020年12月以来最悪の水準である。

日銀の高官は会見で、製造業の幅広いセクターでセンチメントが悪化しており、その中でも原材料や燃料コストの上昇、海外の成長鈍化や半導体需要の低迷の影響を訴える企業が多いと述べた。

これとは対照的に、非製造業の業況判断指数は12月のプラス19からプラス20へと4四半期ぶりに上昇した。観光やサービス需要の回復を期待し、小売業者やホテルの景況感が高まったためである。

一方、サービス業では、原材料や人件費の上昇により3か月先の景況感が悪化すると予測していることが、今回の短観で明らかになった。

短観は、日銀が4月27〜28日に開かれる金融政策決定会合(植田新総裁の任期初の会合)で、四半期ごとの成長率と物価の見通しを立てる際に材料となる重要なデータのひとつである。

日本経済は2022年10-12月期に景気後退を僅差で回避しており、アナリストの見通しでは、賃金の伸び悩みと生活費の上昇が消費への痛手となっていることから、1-3月期の景気回復は小幅なものに留まるとされている。

数多くの大企業が労働組合との間で行う春の賃金交渉(春闘)で大幅な賃上げを約束しており、消費回復が今後予期される輸出不振を補うという希望を政策立案者に与えている。

短観によると、2023年度の大企業の設備投資計画は3.2%増で、前年度比16.4%増という伸び幅から、アナリストは強気な動きと見ている。

かねてから、日銀のイールドカーブ・コントロールは、市場価格を歪め、金融機関の利ざやに悪影響を与えていると批判されてきたが、経済の力強さ、賃金・物価見通しは、日銀がこの政策を修正あるいは終了させる時期を決めるにあたって鍵となる。

また、短観によれば、企業は物価見通しとして1年後に2.8%、3年後に2.3%、5年後に2.1%を推移すると予想しており、日銀が物価目標として掲げる2%を今後数年間も上回ると見ている。 

ロイター

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