フランク・ケーン
ドバイ: 石油価格は火曜、トレーダーたちが2020年の「ブラックマンデー」の記憶から脱する中、世界中の市場で急騰を再開した。当時はパンデミックによる景気後退が始まり、一部の原油価格がマイナスの領域に突入した。
世界的な指標となるブレント原油は1年以上ぶりに1バレル$68を超えた。一方、ちょうど1年前に深刻な石油危機の中でマイナス$40に達したウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は、$64を上回った。
原油が再び1バレル$100を超える「スーパーサイクル」の可能性を示唆する専門家もいるこの石油価格の復活は、世界経済の見通し改善が原因の一部となっている。世界の経済は、パンデミックによるロックダウンから抜け出しつつある。
コロナウィルスワクチンの世界的な展開により、経済の専門家たちは2021年に成長が急速に回復すると予想している。国際通貨基金は最近、今年の残りの期間における経済活動の急激な上昇を予測した。先週は中国が、同国経済が今年の第1四半期に18.3%成長したと述べた。
しかし石油アナリストたちは、サウジアラビアとロシアが主導する生産国同盟OPEC+の行動が、昨年春に世界市場を無力化する脅威を与えた石油の大量過剰在庫削減につながる、最も大きな要因だったと考えている。
昨年4月以来、OPEC+は強力な内部規律と、世界最大の輸出国サウジアラビアによる自主的な減産の組み合わせを通して、世界市場から30億バレル以上の石油を取り除いてきた。
サウジアラビアのエネルギー大臣でOPEC+の共同議長を務めるアブドルアジーズ・ビン・サルマン王子は、COVID-19感染例が世界の一部地域で再び増加しているため、23のメンバーから成る組織に繰り返し警戒を促してきた。欧州とインドが、最新の心配の種となっている。
「世界の状況は均一とは程遠いという現実が残っており、完全に回復するまでにはまだ時間がかかる」と、同王子は前回のOPEC+会合で話した。
強気の石油価格は、世界最大の石油消費国である中国の需要増加に後押しされている。
同国の税関規制当局が火曜に公表した数字によれば、同国への最大の供給国であるサウジアラビアからの原油輸入は、3月に約9%増加した。港の混雑が終わり供給の制限が解消されたことで、国内の力強い需要がさらに活気づけられた。
一部のアナリストは依然として、ブレント原油が今年$75に達する可能性があると信じており、来年は1バレル$100もあり得ると考えている。
しかし、昨年春の不安定な市況や、マイナスの石油価格が再び起こるとは、誰も考えていないようだ。
コンサルティング会社カマール・エナジーのロビン・ミルズ最高経営責任者はアラブニュースに対し、「(昨年は)非常に稀な状況が重なった」と語った。
そして次のように付け加えた:「何が起こるかは分からないし、トレーダーは忘れやすいものだが、修正が行われれば、再びマイナスになる可能性は低くなると思う」