Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • instagram
  • Home
  • イラン、経済苦境で大統領に非難集中

イラン、経済苦境で大統領に非難集中

03 Jan 2020
Short Url:

イランのハッサン・ロウハニ大統領は、かつてはイランで最も人気のある政治家の一人と見なされていた。2013年の大統領選挙では50.71%の票を獲得し、地滑り的勝利を収めている。

第2位に終わったテヘランのモハンマド・バーゲル・ガーリーバーフ市長がわずか16.56%の票しか獲得しなかったため、大統領選は第2ラウンドにすら進まなかった。

最初の任期中、ロウハニ大統領は相当量の政治的資本を投資し、6大国(米国、ロシア、中国、英国、フランス、ドイツ)と核合意を結んだり、四次に及ぶ国連制裁およびEUと米国の一方的制裁といった対イラン制裁の解除を試みた。

一般国民に対しても、余剰収入が国民にトリクルダウンすると約束し、経済や市民の生活水準を改善し、特に若者に職や平等な機会を提供すると約束した大統領にとっては、明るい兆しが見えたかのようだった。

さらに、西欧や米国との関係強化とともに、世界舞台におけるイランのイメージや地位の改善についても、国民の多くが称賛した。こうした要因も手伝って、2017年選挙でロウハニ氏は約51%の票を獲得し、再選を果たした。ちなみに対立候補としては人気不足だったイブラヒム・ライシ氏の得票率は約33%だった。

そんな大統領だが、2017年以降、数多くの問題が下方へと向かい始めた。

1年前、イラン議会(マジュリス)は、大統領弾劾の手前までに至る事態となった。大統領は議会へ召喚され、国の経済の失敗、核合意、米国の圧力の高まりについての質問に答えなければならなかった。ロウハニ氏は1979年以降で議会に召喚された2人目の大統領となった。

その後、議会投票により、質問5問のうち4問に対するロウハニ大統領の説明を拒否する決議が下された。イランは遅かれ早かれ大統領の召喚に向け動く可能性が高い。事態はひょっとすれば弾劾にまで進むかもしれない。その理由を以下に挙げる。

圧倒的多数のイラン国民が、国の富や希少な資源を抑圧やミサイル、テロリズムに流用する政治体制から解放された、新しいイランを望んでいる。

マジド・ラフィザデ博士

まず、イランの強硬派、特にイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)の幹部であり保守派の議員であるアヤトラ・ハメネイ最高指導者が、欲求不満の国民をなだめるためのスケープゴートを必死で探していること。

イラン国民の多くが、経済的・政治的問題の背後にある原因は米国やイスラエルといった他国であるという政権の説明をもはや受け入れようとしない。

神権政体に対する怒りは前例のないレベルにまで達した。厳しい弾圧にもかかわらず、抗議活動が続いている。反体制スローガンの数多くがまるで常識のようになり、「独裁者はぶっつぶせ」、「軍の兄弟よ、なぜあなた方は自分の兄弟を殺すのですか?」、「聖職者は失せろ」といった言葉が連呼されている。

それに、支配層を形成するムッラーが、自分たちの権力を維持する手口として、これまでにもその支持者や派閥すらをスケープゴートとして利用してきた、という事実もある。

第二に、大統領の人気が大幅に落ち込んだこともあり、ロウハニ氏を召喚したり弾劾したとしてもリスクがないことを強硬派が認識している、ということ。

国民は、ロウハニ政権下のイランが現在、1979年のイスラム共和国誕生以来最も深刻な経済問題に直面していることに気づき始めている。

インフレは異常なペースで上昇を続けている。世界における許容インフレ率は約2%とされているが、イランではインフレが高進を続け、現在40%を上回るかどうかといった状態が続いている。そして、価格急騰の犠牲を払っているのは一般市民なのだ。

高校教師で2人の子供を抱えるNafeesehさんは、次のように語っている。「毎日買い物するたびに、パンやお米、卵といった食料品の値段が前の日と変わっているのです。値段は上がるばかりですから、家計のやり繰りが本当に大変です。昨年は1年で値段が約70%上がりました」

政府の公式統計によると、若者の失業率は約27%に達し、大卒の失業率は40%を超えた。

イランの人口は若く、30歳未満が人口の60%以上を占める。地方によっては失業率が60%を超えたところもあるとされている。

国民の大統領への怒りの背景には、政府の中東政策が経済政策と同じくらいひどい、という事情もある。ロウハニ政権の下で軍事予算やミサイル予算が膨張したため、シリア、イエメン、イラクのほか、中東の紛争地帯で好戦的な議題を引き起こすことになった。

圧倒的多数のイラン国民が、国の富や希少な資源を抑圧やミサイル、テロリズムに流用する政治体制から解放された、新しいイランを望んでいるのも不思議ではない。

そしてこうした理由により、国際社会には、イラン国民が「ガザにもNo、レバノンにもNo。我々はイランのために命を犠牲にする」、「ガザでもレバノンでもない、私が命を捧げるのはイランだけ」、「オイルマネーはなくなってしまった、すべてパレスチナに費やされた」と連呼する声が、何度も何度も聞こえてくるのである。

イラン政権に対する国民の不満や怒りが高まるにつれ、強硬派は政権の究極のインサイダーであるロウハニ大統領をスケープゴートとして利用し、国民をなだめようとしているのだ。

  • マジド・ラフィザデ博士は、ハーバード大学で教育を受けたイラン系アメリカ人の政治学者。イラン-米国間外交政策の第一人者であり、実業家であり、国際アメリカ評議会の会長でもある。Twitterアカウント: @Dr_Rafizadeh

 

topics
Most Popular
Recommended

return to top